【推薦図書】『天日干し経営:元リクルートのサッカーど素人がJリーグを経営した』(村井満著)
2025.01.31 04:30
【推薦者】UI銀行代表取締役会長・三浦 毅氏
天日干しのもとでPD“M”CA
「魚と組織は天日にさらすと日持ちが良くなる」元Jリーグチェアマン、現日本バドミントン協会会長の村井満氏の口癖です。「天日干し経営」とは、多くの人の感性や意見を交換する開かれた場の創出であり、閉ざされた空間をつくらない経営手法。天日は降り注ぐ関係者の視線であり、自分以外の人の視点ほど助けになるものはないと村井氏は言います。
未知の分野への挑戦や環境変化への対応、トラブル・不祥事など組織をさらすことで多くの情報が集まり、組織は強くなるのです。
コンプライアンス問題は密室で起こるのが常ですが、ルールブックを厚くすると構成員は手足が縛られたような感覚に陥り、組織心理は保守的になります。すると企業活動は硬直的になり、リスクを負わない組織風土が成長を阻害して悪循環が生まれるのです。本来は「当社の活動は天日干しされているので人に言えないことはやらない」という組織風土があれば良いはず。
もう一つは失敗の価値。村井氏は、ミスが避けて通れないサッカーの競技特性からPDCA(計画・実行・評価・改善)の真ん中にM(ミス)を置き、PDMCAという言葉を掲げました。変化の大きい世の中だからこそ、失敗を躊躇(ちゅうちょ)せず、挑戦を続けたいものです。
(東洋経済新報社、税込み1760円)