生保10社の2024年度下期「運用計画」、国債の金利上昇で積み増し
2024.10.29 15:46
国内生命保険会社は2024年度下期、金利が上昇する局面で超長期の国債などを積み増す予定だ。10月29日までに出そろった主要10社の資産運用計画で明らかになった。国内債券は6社が増加、4社は減少となる見込み。低い利回りの債券を売却したり、償還で残高が減少する生保もある。
基本的に生保は、20~30年の長期保障の保険商品(負債)がメイン。そのため、20~30年の超長期国債(資産)などに投資するALM(資産・負債の総合管理)運用を行っている。資産と負債の期間をマッチさせ、金利リスクを削減することが目的。
3月19日に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、超長期国債の金利が上昇(債券価格は下落)し始めた。その後、7月初旬に20年国債で年1.9%、30年国債で年2.2%をつけた。足元では衆院選で与党が過半数割れし、野党との連携で国債を増発するとの懸念が高まり、再度金利が上昇している。
日本生命保険は、金利水準に応じ、すでに保有する低利回りの国内債券を入れ替える。都築彰財務企画部長は、「30年債の利回りは24年度末で年2~2.5%を想定している」と話した。実際に6~7月の金利上昇時には、超長期債に投資して低利回りの債券は整理した。
第一生命保険は、資本効率の改善に向け、金利リスクを抑制 する。24年度下期は、責任準備対応債券の積み増しなどにより、残高を増加させる方針。
明治安田生命保険は、平準買いを基本としつつ、国内金利水準が上昇した局面では積み増す。北村乾一郎運用企画部長は、「貯蓄性保険の販売が増加すれば円金利は必要」としつつ、「外国資産と比べてALMを意識し投資する」という。24年度末までの30年国債の金利の想定上限は2.5%と想定している。
住友生命保険は、金利上昇時、超長期債などに機動的な投資を検討する。増田光男運用企画部長は、24年度末の30年国債利回りを年2.1%、高くても年2.4%と想定していることを明かした。
かんぽ生命保険は、貯蓄性の一時払い保険の販売が好調。野村裕之運用企画部長は、「販売がうまくいき、(23年度は)年間3兆円減少した総資産が、24年度は1.5兆円程度の減少にとどまる可能性がある」とし、ALMに応じて円金利資産に投資するとした。
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