【推薦図書】『真田信繁 幸村と呼ばれた男の真実』(平山優著)
2024.10.25 04:30
【推薦者】全国労働金庫協会専務理事・西村 良隆氏
「不思議なる弓取」の実像
2016年大河ドラマ「真田丸」、制作発表時の興奮を今もはっきり覚えています。私を含めて信州人にとって、真田信繁は特別な存在です。
関ケ原の戦い、西軍として父昌幸とともに信州上田城にて秀忠率いる徳川軍(東軍)の西上を見事阻止するも敗れ、九度山にて蟄居(ちっきょ)生活。
あまりに長い14年間を経た後の大坂の陣。冬の陣で、大坂城の弱点位置に築いた「真田丸」で徳川勢を撃退。夏の陣では、真田丸を破壊され、大坂城の堀のほとんどを埋められたなかでの激闘、家康本陣への突進、そして悲劇的な最期。
彼の生涯は、関ケ原の戦い前における兄信幸との決別の判断(犬伏の別れ)、第二次上田合戦や大坂の陣で徳川方を悩ませた卓越した用兵など、謎が少なくありません。そもそも、なぜ諱(いみな)が「幸村」なのか……。
「不思議なる弓取」と評されるこの英雄の本質はどこにあるのか。真田研究の第一人者である作者が、数少ない史料を真摯(しんし)に博捜し通説・俗説・新説を冷静に淡々と再検証します。
本書の半分程度は、大坂の陣の描写に費やされます。真田丸ができるまで、夏の陣を避けられなかった理由、豊臣氏への非情な処遇に隠された家康の本意など、固定概念が複数覆されます。秋の夜長にじっくり読みたい一冊です。
(角川選書、税込み1980円)
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