地域金融機関、「両手型」案件が増加 人材紹介の自走探る
2024.09.06 04:45
地域金融機関で、収益を確保しやすい「両手型」の人材紹介案件が増えている。国が成約実績に応じて金融機関に補助金を出す「先導的人材マッチング事業」への申請ベースでは、同事業の2024~25年分を開始した2月から7月末までの両手型の割合が前年同期比で約5ポイント増加。119件の採択先のうち、「新たに両手型を始める金融機関も拡大傾向」(内閣府関係者)にあり、各金融機関は業務の自走に向けた最適解を探っている。
求人情報と求職者の双方に対応する両手型は、取引先を人材紹介会社につなぐ「片手型」と比較し、業務負担が大きい。その一方で、手数料収入も大きく、ビジネスとして成立しやすいのが特徴だ。
両手型が増加する背景には、各金融機関の業務が高度化していることに加え、国による施策の影響もあるとみられる。内閣府は24~25年分の先導的人材マッチング事業において、片手型の補助率を「理論年収の16%」から「同10%」に引き下げた。両手型へのインセンティブを相対的に高め、積極的な案件創出を後押ししている。
両手型に取り組む際に検討課題となるのが、片手型とのバランスだ。経営資源が限られるなかで地元企業を広く支援するには、案件に応じてどちらのサポートを提供するか見極める必要がある。各金融機関としては、本部・営業店の人員体制や事業継続のために必要となる収益を踏まえたうえで、取引先の経営課題としての優先度なども考慮し判断することが重要になりそうだ。
24~25年分の事業では、初めて補助金額の上限も設けられた。単年度では5000万円、今後の累計では両手型を1億円、片手型を5000万円に設定された。25年以降は事業を活用できない金融機関が出てくる可能性があり、持続的なビジネスモデルの構築は急務となっている。
そうしたなか、案件全体に占める両手型の割合を高める計画を策定する地域銀行や信用金庫も増えている。
預金規模3000億円台の信金でも「両手型への参入に向け準備を進めている」(西日本地区)などの動きがあり、今後も自走に向けた取り組みが加速しそうだ。
※この記事は2024/10/11にフリー記事に変更しました。
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