【推薦図書】『経営の力と伴走支援』(角野然生著)
2024.08.16 04:30
【推薦者】東和銀行取締役常務執行役員・鈴木 信一郎氏
地域と企業の包摂的成長を目指す
今年も残り4か月余りとなったが、顕在化した地政学リスクや地球温暖化に収まる気配は見えず、原材料価格の高止まりや人手不足などから我が国中小企業の経営環境は難しい状況にある。本書では東日本大震災後に避難を余儀なくされた地元中小企業の事業再開を官民合同チームで伴走支援した筆者により、その後、全国の中小企業を対象とする経営力再構築伴走支援モデルに昇華させていった経過などが綴(つづ)られている。
経営者および地域再生をめぐる「5つの壁」や各企業が本来持っている潜在力を封じ込める「3つの要因」、それらの改善に向けて「対話と傾聴」を通じて自己変革を促し、自社の課題設定力や課題解決力の向上に繋(つな)げるプロセス、理論的な整理を筆者や複数の中小企業アドバイザーの実践例とともに把握できる。
さて当行は、「私たちは、地域のお客さまに寄り添い、ともに豊かな未来を創造します。」とのパーパスを策定した。地元中小企業の伴走支援者の一員として職責を果たしつつ、顧客と当行との共通価値の創造に向け本書からの示唆を活かしたいと考えている。筆者も述べているとおり、こうした取り組みは当行など伴走支援者側にも多くの気づきや改善をもたらすと思うからである。
(光文社新書、税込み946円)
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