日銀、特別付利の設計見直し 「日銀当預」急増で〝上限〟設定
2021.11.16 18:46
日本銀行は11月16日、経営基盤強化に取り組む地域金融機関に対して付利する「特別当座預金制度」(特別付利)の仕組みを見直したことを明らかにした。新型コロナオペの利用増などで、付利算定の対象となっている金融機関の日銀当預残高が制度を設計した当初の想定を大幅に上回ったためとみられる。
日銀は、特別付利対象金額の「上限」について、新たな条件を設けて対応。具体的には、主にコロナ禍前にあたる17~19年度の日銀全取引先の当座預金残高の平均的な年間伸び率を基準とした「上限」を設定した。
従来の仕組みでも一定の上限を設けていたが、新型コロナオペの利用の多少に関わらず、積み上げた対象残高に応じて付利されていたため「実質的にはないに等しい」(市場関係者)ものだった。
ただ、新型コロナオペの実施期間延長などで日銀当座預金は大幅な増加が続き、日銀は「制度の適切な運営を確保する」観点から、新たな上限設定で対応に動いた。
年度途中での制度見直しとなったため、日銀は金融機関経営の影響に配慮。21年度については、見直し直前(10月積み期間)の対象残高を上限として付利に応じる「経過措置」を講じる方針も示した。
特別付利は20~22年度の時限措置。一定のOHR(経費率)改善など経営基盤強化を実現した金融機関へ、日銀当座預金に上乗せ金利(年0.1%)を支払う設計で20年11月に導入を決めた。黒田東彦総裁は11月15日の会見で「多くの地域金融機関のOHRが大きく低下して経営基盤強化につながっている」と同制度の効果を語っていた。
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