地域金融機関、新興AI分析ツールに注目 試行含め20機関へ拡大
2024.03.30 04:55
地域金融機関が、スタートアップの人工知能(AI)分析ツールに熱い視線を注いでいる。アイリス(東京都)が提供するサービスで、月額18万円から利用できることが魅力だ。同社が2023年10月に正式リリースしてから地域銀行や協同組織金融機関が関心を示し、数機関で実証実験をスタート。24年1月以降、地域銀を中心に有償の利用が始まった。足元では、試行を希望するケースも含めて約20機関まで契約先が広がっている。
アイリスのAI分析ツール「Ready AI」は、金融商品ごとの営業先リスト作成や推進対象顧客の特定、顧客の休眠防止などの機能を持つ。当初は個人営業の支援ツールとして提供されたが、「法人営業におけるAI分析のニーズは強い」(同社)とみて、法人取引先の融資需要予測や本業支援サポート機能を近く追加する。月額料金は、利用する機能の数で異なり、最低18万円から。三つを選択した場合は25万円となる。
こうしたサービスに関心を持つユーザー側の事情はさまざまだ。ある地域銀は数年前に大手ベンダーのAI分析ツールを導入していたが、費用対効果から他社へ切り替えようとしていた。他方、対面営業を重視してきた信用金庫や信用組合は、営業店の人手不足を背景に渉外活動の効率を高めることが課題だった。
地域金融機関行職員の間で、「AI分析の結果に対して、『懐疑的』から『有効』へと見方が変化している」(アイリスの藤井正辰社長)ことも要因にある。同社は24年度中に、実証実験先も含めて約100機関との契約を目指している。
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 金融庁、粉飾対策で「第2線」注視 営業現場と連携求める
- 3メガ銀、リアル接点拡充 三菱UFJ銀、20年ぶり新店
- ブラックロック・ジャパン、国内初の外株アクティブETF上場 AI銘柄に投資、早期100億円へ
- 地域金融機関、地公体貸出 割れる戦略 金利上昇で見直し加速
- 信金、増える金融・保険業貸出 融資需要低下が影響か
- 住信SBIネット銀、住宅ローンアプリ1年 本審査9割超に利用浸透
- <お知らせ>「金融×スタートアップ Meetup」 ~スタートアップ支援の課題と在り方を考えるイベント~【参加無料】
- 常陽銀、〝100億企業創出〟に本腰 包括支援へ157社選定
- 三菱UFJ銀、Netflixの独占放映で 独自調査を公表
- 大手生保、生成AIがアンダーライティング代替 事務職を営業へシフト