苦情に学べ 磨くべき顧客の心を慮る能力

2024.03.02 04:10
苦情に学べ
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク
苦情に学べ

今回は、そもそもリスク性商品に係る「苦情」が発生する前提が何かについて考えてみたい。
 一般的に顧客は金融機関に対しては「敷居が高い」「堅苦しい」といったイメージがあると言われている。ということは当然に最初から不安感をもって来店したり、相談したりすることとなる。
 では、担当者としてどのように接すればよいか。
 相手は自分の不安感を和らげてもらいたいと考えているのである。一番の方法は、笑顔できちんとした身だしなみで適切な対応・態度で接することである。
 第一印象でその人の印象がほぼ確定すると言われている。この点、今一度振り返ってみる必要がある(グラフ)。


メラビアンの法則


また、顧客は財産・金銭の大切な話をするので、対応してもらっている間は自分の相談や言い分だけを聞いてほしい、別の言い方をすれば自分だけのために時間や能力を使ってほしいということである。プライベートバンクを利用している高齢の富裕層の方にはこうした傾向が強い。
 さらに、皆さんが対応する富裕層顧客全般に言えることであるが、優越感に浸りたいといった感情を持っているとよく言われている。「自分は(この金融機関にとって)特別な客である」「これだけの財産を預けているのだから大切にされて当然である」と。
 皆さんが一流ホテルやレストランに出かけた時、抱く気持ちと同じである。
 販売担当者は「顧客のニーズの把握」「購入に係る適切な動機付け」「提案の仕方」といった営業にある意味直結することを優先的に考えて販売活動を行ってしまうが、先に述べた顧客の心理状態等を適切に把握し対応しなければ、仮にルールに即して販売を行ったとしても感情的なことから「苦情」に発展するケースが多いと言われている。
 金融機関はサービス業である。その原点の一つである顧客の心を考える必要がある。
 顧客も「人間」である。ある程度感情で行動したり、言ったりすることもある。ルールや知識があることは当然として、その前提である顧客の心を慮(おもんぱか)る能力を日々磨くことで営業能力の向上と「苦情」リスクの低下といった、自身にとってのメリットが増えていくはずである。
 今一度、考えてほしい。皆さんは一流と言われる所に行く時、どんな思いを抱いていきますか。


【金融監査コンプライアンス研究所代表取締役・宇佐美 豊氏】

すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連キーワード

苦情に学べ

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)