東証大納会、終値3万3464円 年間上げ幅は89年に次ぐ7369円
2023.12.29 17:38
東京証券取引所は12月29日、年末最終取引日を締めくくる大納会を迎えた。同日の日経平均株価は続落し、前日比75円45銭(0.22%)安の3万3464円17銭で取引を終了した。前年末比では7369円67銭(28.24%)高で、年間の上げ幅は史上最高値を付けた1989年に次ぐ大きさになった。年間騰落率では2013年以来、10年ぶりの上昇率。米ダウ工業株30種平均は13%の伸びにとどまり、日経平均がアウトパフォーム。23年は海外投資家から日本株が注目を集めた1年となった。
大納会セレモニーにはゲストとして、23年のワールド・ベースボール・クラシックで野球日本代表「侍ジャパン」の監督を務め、世界一に導いた栗山英樹氏が登壇した。栗山氏は「野球もそうだが、なかなか正しいことを頑張っても形にならない時がある。ただ今年は大きなきっかけをつかんでいる。来年こそは世界が日本の経済を憧れるそういう存在になってくれると信じています」と証券界にエールを送った。
23年の株式市場は3月には米シリコンバレーバンクの破綻など米欧で金融不安が広がった。米国のインフレ進行と米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが市場を左右した。10月にはイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃などウクライナ紛争に次いで地政学リスクが再び意識された。
一方、国内はリオープンによる景気回復や物価上昇、高い賃上げ率など長きにわたったデフレ経済からの脱却の兆しがみえた。東証は3月にプライム・スタンダード企業に対して「株価や資本コストを意識した経営の実現に向けた対応」を要請。企業改革の機運が高まった。
米著名投資家のウォーレン・バフェット氏をはじめ海外投資家の日本株への注目度は高まり、日経平均は7月にバブル崩壊後高値(3万3753円)をつけた。あるメガバンクグループのアナリストは「3万3000円までの駆け上がりは完全に想定外だった」と振り返った。年間通して進行した円安を軸に「賃上げからインフレへの流れ、経営改革の前進など追加材料が折り重なって水準が切り上がった」と分析する。

日本取引所グループ(JPX)の山道裕己グループCEOは23年を振り返り、「日本経済、日本企業の変革に国内外の投資家の皆様からの期待の声が高まっており、今年は外部環境を含め様々な要因が株式市場を好転させた」と総括した。新しい少額投資非課税制度(NISA)がスタートする24年について、山道グループCEOは「長年の悲願である貯蓄から投資への流れが大きく加速する1年になる」と抱負を述べた。
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