【PR】第2回 服部常務インタビュー 地域金融と共存共栄

2024.01.01 04:50
地域密着型監査のかたち ~地域金融のフィールドで存在感~
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

みのり監査法人は、全国約500JAの会計監査とともに、同じ協同組織である信用金庫、信用組合の会計監査も担っている。3回シリーズ『地域密着型監査のかたち ~地域金融のフィールドで存在感~』を掲載する。第2回は、金融事業グループ長の服部克栄常務理事(55歳)に「地域金融と共存共栄」をテーマに聞いた。


服部 克栄氏(はっとり かつえい) みのり監査法人 常務理事/監査事業本部長/金融事業グループ長 公認会計士
1968年福島県生まれ、監査法人トーマツの金融事業部を経て会計監査業務、アドバイザリー業務、JAの資産査定管理体制改善の助言・指導等に従事。みのり監査法人の設立時より関与し、2019年の農協及び信用農業協同組合連合会への公認会計士監査導入に力を注ぎ、現在に至る。


Ⅰ.2つの地域密着


Q.みのり監査法人の主な特徴は。


地域密着型の監査であること、国内監査先に特化していること、主要監査メンバーは大手監査法人出身という3点です。


Q.地域密着型の監査とはどのようなものですか。


2つの意味合いがあります。1つは、監査先が地域密着型のビジネスモデルを有していること。つまり国内において資金ニーズに応え、地域の生活基盤を支え、地域のインフラに貢献するための事業活動を行う地域金融機関であることです。もう1つは、国内に特化した先に対して監査人が常に同じ視線で見られるようにすることです。当法人は、各地域にオフィスを構え地域の状況をよく理解する監査人が身近な存在として会計・監査相談に対応しています。地域を担当する業務執行社員や監査チームメンバーが、何かあれば迅速に対応できる体制を整備しています。


Q.大手監査法人出身者で編成されていることから、大手と同等の監査品質の提供が可能ということでしょうか。


監査責任者であるパートナー及び主査など監査チームの核となるマネージャーは、大手監査法人出身です。特に信金、信組の監査を行うメンバーは、大手監査法人において金融機関の監査経験が豊富にあり、金融機関の経営環境や規制・制度、また、監査上の重要論点をよく理解した者が、経験・ノウハウを生かして監査を実施しています。また、パートナー自らが、監査現場に往査し、理事・監事・役席者をはじめ監査先と深度あるコミュニケーションをとっています。パートナーを含め監査チームメンバーが身近で統括・相談対応しているので、監査判断を的確にかつ迅速に行っています。


主な監査先であるJAや信金、信組は信用事業を行う協同組織です。業務執行社員及び補助者は、協同組織の精神・カルチャー・制度を理解し事業にも精通しています。重要なポイントをおさえて監査を効率的に実施でき、同時に監査品質を一定以上に維持できるものと自負しています。


Q.監査工数や監査報酬はどのような基準で設定されるのでしょうか。


監査工数や監査報酬は、基本的に規模、事業内容とリスクの所在・内容、店舗数などを検討して総合的に判断しています。監査品質面についても大手水準に劣らないレベルを実現しながら、監査を効率的に実施することを徹底しており、監査工数、ひいては監査報酬を抑えています。また、グローバルメンバーファームに加入していないため、大手監査法人に比べ、リーズナブルな報酬体系の実現が可能となっています。


Ⅱ.オフィスは全国44都道府県に


Q.全国のオフィスの特徴を紹介してください。また、ブロック運営管理についても教えてください。


22年9月の組織改編で、業務運営を各都道府県単位から4つの地域ブロック(「北海道・東北」、「関東甲信・北陸・東海」、「関西・中国・四国」、「九州・沖縄」)に分け、大きな単位での運営に見直しました。所属長であるブロック長や管理者を設置して、より現場に近いブロックが事業計画、品質管理、アサインメントなどの業務を管理しています。


信金、信組の監査を行う部署は金融事業グループとして、4ブロックと全国44都道府県のオフィスと連携し、地域の信金、信組の監査に対応しています。各地域では公認会計士の人員を増加して体制強化を行っています。


信金、信組の監査においては、まず、何よりも監査先が何を大切にして経営を行っているか、地域にどう貢献しようとしているかを理解することに努めています。そのうえで地域経済への支援、再生の取組みを評価し、資金運用方針として貸出金や有価証券などの運用がなされていると考えています。貸出金や有価証券の評価としては、自己査定及び貸倒引当金が重要となってきます。特に自己査定においては、地元の企業や個人への融資が中心となるため地域の特徴、地域経済、地元企業の状況をよく理解する必要があり、普段の目配りに加えて、ブロック研修や金融事業グループの会議・研修等を通して、常日頃から情報収集しています。この点については、監査先の皆様とも深度あるコミュニケーションを行っていきたいと思っています。


チーム構成は、業務執行社員、主査、その他メンバーであり、公認会計士が主体です。それ以外にITに係る監査業務を行うIT専門家・担当者をおき、IT監査の知識・スキルに応じて監査に従事しています。


Q.監査チームの編成方針などはございますか。


チームメンバーの組成方針として重視している点は、監査メンバーの入れ替わりを少なくし、安心して監査を任せて頂けるようにすることです。業務執行社員や主査となるコアメンバーはローテーションの範囲内で一定年数、固定することで安定的に関与し深度ある監査と効率化を実現するようにしています。


Q.公認会計士業界においても人手不足と聞いていますが。


当法人は、大手のように様々な業種・業態の上場会社を監査していません。また、設立から5年程度のため、認知度が十分に高くなく、公認会計士の採用は簡単ではないと認識しています。一方、地方にある非営利組織の監査に興味を持っている方や地元の近くで勤務することを希望する方、地方に貢献したいと考えている方がUターンやIターンで当法人に応募するケースも多くあります。専門家という観点では、公認会計士やIT監査の専門家の他、DXに詳しく監査の業務変革に興味のある方や金融の実務経験者も歓迎です。IT監査の専門家は地方オフィスにおいても採用が進んでいます。


Ⅲ.2信金5信組の監査実績



みのり監査法人のスタッフ
みのり監査法人のスタッフ

Q.信金、信組の監査実績を教えてください。


毎年、監査先が増加し23年度は2信金5信組となっています。問い合わせも多く、要望を頂いた先については意見交換を進めています。24年度以降も増えることを想定しています。


Q.地域金融機関の監査で留意している点を教えてください。


信金、信組は一般的に営業エリアが限られることから、資金需要が小さい場合は貸出金の伸びが相対的に低くなり、資金利益が減少傾向となる信金、信組が多くあります。一方、有価証券や預け金による運用は増加傾向でしたが、物価上昇を背景に各国の政策金利引き上げや日本でも日銀がイールドカーブ・コントロールの変動幅を修正しました。市場金利は上昇傾向にある中、債券の含み益が減少し、含み損が増加する可能性があります。国内における本格的な金融政策の修正はこれからであり、金融環境の変化と金融機関に与える影響は今後さらに大きくなることが予想されます。資産ポートフォリオの見直しを行い、損失を最小限に抑えたり吸収できる金融機関とそうでない金融機関とでは、今後、収益性と財務の健全性において差が生じるものと予想しています。


貸出先も、コロナ後のゼロゼロ融資の返済により資金繰りが厳しくなる先もあると予想され、信用コストが増加する可能性があります。地域金融機関は、会員・組合員の相続のため資産活用目的の不動産賃貸向け融資が多いことから、監査においては資産活用の状況を理解し個人と法人が一体となった融資先の特長・実態を踏まえることが重要です。


また、地域金融機関の事業内容に加え地域の地理的な特徴、歴史的な背景、文化なども理解して、監査先とコミュニケーションを図ることが非常に重要という認識です。そのため、会計・監査基準等の知識以外に、このような理解を深めるための法人内の研修や交流を積極的に行い、人材教育を強化し、法人としての組織対応力を上げ、地域の一員として信頼される法人を目指しています。


Q.IT・インフラ整備の取り組みについて教えてください。


監査先が地方や遠隔地で交通の利便性が乏しい場合、実地監査は難しくなります。また、感染症だけでなく、近年は自然災害も多い状況です。そのため、職員の安全・健康を優先しながら監査を継続できるような体制又はシステム化は必須です。リモートワークの日常的な運用に加え、資料の電子化、データを活用したリスク評価や監査手続の実施、業務の効率化など、監査先の協力を得ながら、持続可能な監査を実現し同時に監査時間の増加を抑えていく考えです。


今後は、金融機関においてもデータ活用、DX化、またAIの活用が進むと予想されます。データ活用による担保不動産の価値評価や、貸し倒れの予測が精緻化することで従来の自己査定や貸倒引当金の算定にも影響することが考えられます。中長期的な時間軸の中で、監査人も監査先のITインフラの状況変化に合わせる必要があります。特に当法人は、地方・地域に多くの監査先を有すことから法人あげてIT人材を増やす方針です。


Ⅳ.マネージャーの声


林 淳氏(はやし じゅん)(2019年7月入社)
監査事業本部/金融事業グループ(本部オフィス) シニアマネージャー 公認会計士    
23年3月期から信組の新規監査を担当しました。初年度の監査対応として、信組の貸出金自己査定、貸倒引当金、固定資産・有価証券の減損など論点となる項目を中心に、会計方針等の考えをお聞きし、その内容を踏まえて十分に協議して監査を進めるように意識をしました。会計上の論点について期中の段階で早めに協議を行ったことで、期末監査についても慌てることなく円滑に進むことができたと考えています。また、監査チームのパートナーは信組の監査経験が豊富で、都度相談に乗って頂きました。
新規の監査においては、監査先が監査人に対して新たな目線で、指導的な役割を期待する面が大きいため、少しでも期待に応えることができるようにマネジメントを心がけたことは、自分の中で成長を感じ、非常に良い経験となりました。


久井 知直氏(ひさい ともなお)(2018年12月入社)



監査事業本部/金融事業グループ(岡山オフィス) シニアマネージャー 公認会計士 
入社前は、大手監査法人で金融機関の会計監査を担当後、地元金融機関で勤務していましたので、金融機関の内外から様々な経験をしています。クライアント先はJAを中心とした金融機関がほとんどですので経験を生かしながら監査に取り組めています。今後も地元金融機関を中心に担当し、会計監査を通じて、地元経済に貢献したいです。将来的には、パートナーとしてクライアントを支え、法人経営へも参画してみたいです。大手監査法人と比べて、良い意味でパートナーと監査メンバーとの距離感が非常に近いと感じます。パートナーを含めた監査チーム内の協議も迅速な対応が可能です。また、パートナーが現場に往査することが多く、クライアントとの重要な協議においても中心となることで、きめ細かく対応できていると思います。


今井 悦子氏(いまい えつこ)氏(2021年12月入社)
監査事業本部/金融事業グループ(本部オフィス) マネージャー 公認会計士 
当法人の最大の魅力は働きやすい職場環境です。出張が多いですが、都内や関東近県のクライアントもあるので、個人の事情に合わせて出張が多くないクライアントを希望することもできます。業務次第ではありますが、繁忙期を除けば定時に業務終了となることが多いので、ワークライフバランスを重視したい人にとっても無理なく働くことができます。さらに、クライアントは金融機関、医療機関、各種協同組合など多岐にわたっており、特に非営利組織の監査に関心がある方にとってお勧めの法人だと思います。また、女性の公認会計士はまだ多くはありませんが、家庭やプライベートと両立させながら働くことができる環境だと思いますので、興味をお持ちの方が仲間に加わっていただけるととても嬉しいです。

すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連キーワード

地域密着型監査のかたち ~地域金融のフィールドで存在感~

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)