中企庁、「再生補助金」を創設 リスケや債権放棄 後押し
2021.10.06 04:45中小企業庁は2022年度、金融機関の合意を得て事業再生に取り組む中小企業を対象とする補助金を創設する。借入金の返済計画見直し(リスケジュール)や債権放棄を条件に500万円程度を支給し、抜本的な再生を後押しする。コロナ禍で経営が厳しくなり、過剰債務を抱えることになった企業の倒産や廃業を最小限にとどめるのが狙いだ。
現在の「事業承継・引継ぎ補助金」に、「再生」の枠組みを追加する。22年度の予算概算要求に約15億円を盛り込んだ。「承継」「引継ぎ」と合わせて約1千社を支援する目標を立てており、300社程度が再生支援の対象になると見込まれる。
リスケや債権放棄に応じる金融機関は、借り手の企業に対して経費削減による返済余力の捻出を促す傾向が強く、事業者が「前向きな経営に乗り出しにくい」(中企庁金融課)。このため、補助金をテコにして収益力強化を目指す計画を立てやすくする。
同補助金は、金融機関の支援を受け、再生計画を策定する企業の活用を想定している。中小企業再生支援協議会に持ち込まれた案件も対象とする。ただ、政府内の調整で支援対象が限定的になる可能性もある。
二つの補助金を一体化して作られた事業承継・引継ぎ補助金には、承継後の設備投資や販路開拓費を補助する「経営革新」枠と、M&A(合併・買収)の費用を支給する「専門家活用」枠がある。再生補助金は、それぞれの枠を拡充して2種類の制度を新設する方向。一方、制度全体が複雑化するため、創設に合わせた簡素化も検討する。
コロナ禍の実質無利子・無担保融資で、債務が過剰と感じる中小企業は急増。同庁は金融庁や全国銀行協会と中小企業向け私的整理ガイドラインの策定に向けた検討も進めており、多くの企業が融資を返済できずに行き詰まる展開に備える。
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