マーケット・トレンド(金利) 鍵を握る賃金上昇
2023.11.28 04:25
来年の賃上げは、大幅な引き上げが期待できるだろうか。賃上げは日銀のみならず、岸田政権にとっても生命線となっている。
岸田首相は、所得減税をぶち上げて、逆に支持率を落とした。もはや政策で支持率を回復させることが著しく困難と思われるほどに評判を下げた。来年9月の自民党総裁任期までの政治日程をみて、人気を回復できそうなイベントは見当たらない。
以前、衆院解散が年内にあるかもしれないと考えられてきたが、最近の支持率の急低下をみると、年内のみならず来年の早い時期の解散も無理だろう。
もしも、岸田首相が求心力を回復できるとすれば、来年の春闘交渉で今年を上回る賃上げ率を実現することだろう。政労使会議や税制優遇措置を通じて、企業の賃上げを後押しする。中小企業の賃上げは、価格転嫁を進めることが焦点になっている。だから、公正取引委員会の関与の仕方も重要になる。
日銀は、2024年3、4月頃にデフレ脱却を見極めて、マイナス金利解除に動きたい意向がある。しかし、岸田首相は所得減税を表明したとき、デフレ脱却を完全なものとするために、2024年6月のボーナスに合わせて減税をすると説明していた。
日銀は、この2024年6月に縛られないように、賃上げの成果を強調したいはずだ。日銀と政府の利害を調整する意味で、来年の賃上げは注目される。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野 英生氏
関連記事
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 西京銀、口座開設効果で給振1000件 サービス拡充、流出防ぐ
- 七十七銀宇都宮法人営業所、東北へのつなぎ役に徹する 開設2年で融資170億円
- J-FLEC、テレビCMに鈴木愛理さん起用
- 三菱UFJ信託銀、低コストPEファンド 1~4号累計で900億円
- 金融庁、信金・信組の顧客属性調査 年齢と預金額把握へ
- 新潟県信組と興栄信組が合併、2026年11月に 基盤拡充と効率化
- メガG、中堅・中小取引を拡大 省人化投資需要など旺盛
- 都銀、貸出金利引き上げ先行 地銀上回る月も
- ひろぎんHD、女性登用へ階層別研修 役員面談で意識改革
- 【ニッキン70周年企画(1)】三井住友FG、「オリーブ」開発のキーマンにインタビュー