太田純・三井住友FG社長が死去 当面は中島副社長が代行

2023.11.27 18:28
おくやみ
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11月25日に死去した三井住友FGの太田純社長(5月15日、銀行会館)
11月25日に死去した三井住友FGの太田純社長(5月15日、銀行会館)

三井住友フィナンシャルグループは11月27日、太田純社長兼グループCEOが11月25日5時9分、膵臓(すいぞう)がんのため死去したと発表した。65歳。後任の職務は当面、中島達副社長が代行し、近日中に後任社長を選定する。


通夜・告別式は近親者で執り行う。後日、「お別れの会」を予定。


太田氏は1982年3月に京都大学法学部を卒業し、住友銀行に入行。2019年4月から、三井住友フィナンシャルグループの社長を務めていた。


太田氏は86年に旧住友銀行(現三井住友銀行)のプロジェクト・ファイナンス業務の立ち上げから関わり、02年にはシンガポールに駐在してアジア全域の同業務を担った。09年には三井住友銀執行役員投資銀行統括部長として、SMBC日興証券との協働体制構築の指揮を執った。


19年にインドネシアの地場銀行「BTPN」を三井住友銀の子会社化するなど、アジア全体でビジネス拡大を目指す「マルチフランチャイズ戦略」を引き継ぐ。21年にはベトナムの大手ノンバンク「VPBank」やフィリピンの地場銀「リサール商業銀行」への出資を強化し、周辺国への取引も広げた。アメリカでは21年に米証券ジェフリーズと資本提携し、23年に持ち分比率を高め提携分野を拡大。同年、三井住友FG傘下のマニュファクチャラーズ銀行の一部門にデジタルバンク「ジーニアス・バンク」を立ち上げた。


国内では23年3月に個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」を開始。グループ連携のみならず、SBI証券との預かり資産サービスや保険会社との連携サービスを強化。さらに三井住友カードの「Vポイント」とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「Tポイント」を統合し、国内最大規模の経済圏を形成する土台を築いた。23年4月から3カ年の新中期経営計画を始動。「社会的価値の創造」を経済的価値の追求と並ぶ基本方針に掲げ、環境問題や人権、貧困・格差などの社会課題に取り組むことで「幸せな成長」に貢献するというグループの道筋を示した。


19年4月の三井住友FGトップ交代の際には、國部毅社長(現会長)が指名委員会で「(太田氏は)誠実、リベラルな人柄で卓越した求心力を持ち、大局観、戦略眼、構想力で不透明な環境をけん引できる」と評価し、推薦した経緯がある。太田社長は就任当時、各メガバンクグループがデジタルトランスフォーメーション(DX)対応を急ぐなか、「グループ全体の力を結集してイノベーションや新ビジネスが次々と生まれる環境を構築する」と抱負を語っていた。


全国銀行協会の加藤勝彦会長(みずほ銀行頭取)は11月27日午後、太田氏の逝去を受けて「わが国を代表する金融グループのトップとして金融界全体の発展のため精力的に活動されてきた」とし、「今後も活躍が期待されていただけに残念でなりません」とのコメントを発表した。


【更新】太田氏の功績について内容を追加しました。(2023年11月27日14:50)


【更新】全銀協会長のコメント発表を追加しました。(2023年11月27日18:28)

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