いまさら聞けない時事用語 外貨建て一時払い保険
2023.09.17 04:30
保険料の払い込みや保険金の受け取りを外国通貨で行う生命保険。銀行の窓口販売では、保険商品の中で人気が高い。本紙の調査では、地域金融機関が2022年度下期に販売した生命保険の件数のうち約8割を占めた。
人気の理由は、「高い利率で資金を運用したい」という顧客ニーズに応えやすいためだ。米国など海外主要国では、金融の引き締めにより金利が上昇。ある国内生保が取り扱う米ドル建て一時払い終身保険(運用期間10年)の場合、8月の積立利率は4%を超えており、1年前より約1%上昇した。
一方、外貨での運用は為替リスクを伴う。ドル安・円高に転じれば、元本割れとなる可能性がある。実際、18~19年の円高局面では、顧客からの苦情が増加した。それを受け、生命保険協会は「外貨建保険販売資格者登録制度」を創設し、試験に合格した資格保有者だけに販売を認める仕組みをつくった。
保険会社の監督官庁である金融庁も、外貨建て保険の販売動向に神経をとがらせている。6月に公表した「リスク性金融商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果」では、販売が急増した背景の一つとして、販売手数料の高い商品の推進を強く動機づける業績評価体系があったと指摘。今後、各銀行の販売姿勢について対話やモニタリングを強化するとしている。
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