いまさら聞けない時事用語 指定金融機関
2023.09.10 04:30
地方公共団体から税・公金の収納事務を任された金融機関を指定金融機関という。略称は指定金(していきん)。金融のプロに出納事務を任せることで、安全かつ効率的に公金を管理するための仕組みだ。
指定金制度が創設されたのは1964年。地方自治法には、都道府県は必ず指定する必要があり、市町村は必要に応じて指定できると定められている。
指定金を務めることは、かつては金融機関にとって一種のステータスだった。地域の企業や住民からの信頼獲得につながり、預金集めに役立ったからだ。地方債の引き受けや、公金預金の運用を通じて、利ざやを稼げるという“うまみ”もあった。
その代わりとして、本来は地公体が支払うはずの収納コストを金融機関側が負担する慣習があり、それが今でも続いている。超低金利時代が到来してからは“うまみ”が消え失せており、負担だけが残っている状況だ。
そのため、金融機関は各地公体に対し、手数料の値上げや有料化を長年にわたって求めてきた。これまでの交渉はほぼ空振りに終わってきたが、足元では転機を迎えている。現在、地公体が依頼人である振り込みの銀行間手数料は無料だが、2024年10月からは一般の振り込みと同様に有料化されることが決まっているためだ。地公体が値上げに応じなければ金融機関の負担が増すだけに、指定金からの撤退も辞さない覚悟で交渉に臨む金融機関が増えている。
どの地公体も財政状況が厳しいだけに重い腰を上げさせるのは容易ではないが、銀行間手数料の変更を1年後に控えて各地で交渉が佳境を迎えているようだ。
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