ファクタリングとは一体何?種類や仕組み、メリット、注意点などを徹底解説!

2023.07.14 16:17
ファクタリング
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ファクタリングとは、ファクタリング会社に売掛金を売却することで資金を調達するサービスです。本記事では、ファクタリングの種類や仕組み、メリットなどについて詳しく解説します。


目次


 


ファクタリングとは


ファクタリングとは、将来的にお金を受け取れる権利である「売掛金(売掛債権)」を売ることでお金を得る方法であり、資金調達の方法として使われています。


金融機関から借入や融資を受けた場合は、負債として計上し、定められた金利分の利息を上乗せして返済する必要があります。しかし、ファクタリングは借入や融資とは別物であるため、負債が増えない特徴があります。


ファクタリングは、ファクタリング会社を通して売掛金を売却するものであり、実際の売掛金の金額から手数料が差し引かれた金額を受け取ります。受け取れる金額は減りますが、売掛金の支払日より早くお金を受け取れるため、資金繰りを改善したい時に役立ちます。


しかし、手数料の金額によっては受け取れる金額が大幅に減少してしまうため、利用する際は注意が必要です。ファクタリングの仕組みについて理解した上で、ファクタリング会社の選定や申し込みを行います。


・ファクタリングの種類

ファクタリングの種類である「買取型」と「保証型」の2つを紹介します。


  1:買取型

買取型とは、ファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらい、手数料を差し引いた金額を受け取れるサービスです。


事業を継続するための資金が足りない場合に、ファクタリングによって売掛金を売り、本来の期日よりも早めに資金を受け取ることが可能です。給料日や取引先への支払いが迫っている場合などにも、ファクタリングを使うことで期日までの支払いを行えるでしょう。


ビジネスシーンでファクタリングについて言及する際は、こちらの買取型のファクタリングを指すことが一般的です。本記事でも、特に断りがない限り買取型のファクタリングを前提として解説しています。


  2:保証型

保証型とは、取引先の会社の倒産などを理由に売掛金を回収できなくなった場合に、ファクタリング会社から保証金を受け取れるサービスです。売掛金を回収できない「貸倒れ」のリスクを回避するため、保険のような位置づけで使われます。


保証型のファクタリングは、保険料のような料金を支払うことで未払いのリスクを軽減します。また、ファクタリング会社やプランによって、保証額の制限があったり、契約期間に定めがあったりなど、細かな点が異なります。


取引先の倒産だけではなく、民事再生や、支払いの遅延・夜逃げなどを保証してくれるケースもあります。取引先に何らかの不安がある場合や、中小企業で与信管理に十分なリソースが割けないという場合に、利用を検討するといいでしょう。


なお、保証型のファクタリングは自社とファクタリング会社で契約を行うため、取引先の会社にファクタリングの契約の存在を知られずに利用することが可能です。


・手形割引との違い

受取手形は、指定の金額を記載された期日に現金化できる仕組みです。受取手形の一種として、期日を迎える前に金融機関や手形割引業者へ手形を持ち込むことで、手数料を差し引いた金額を受け取れる「手形割引」があります。


ファクタリングと手形割引は、期日よりも早くお金を受け取れる点が似ていますが、償還請求権の有無に違いがあります。手形割引には償還請求権があり、手形が不渡り(手形や小切手による支払いができなくなること)になった場合、自ら決済しなくてはならないリスクがあります。


しかし、ファクタリングには償還請求権がないため、そのようなリスクが生じることはありません。


・ABL(売掛債権担保融資)との違い

ABL(AssetBasedLending)は「売掛債権担保融資」を指す言葉であり、その名の通り、売掛債権を担保にした融資です。


売掛債権を使って資金調達ができるという点で、ファクタリングと似ています。しかし、ABLは融資であるため、金利に応じた利息と共に返済する必要があるという点に違いがあります。ABLをファクタリングと誤認して申し込まないよう、注意が必要です。


・ファクタリングの仕組み

ファクタリングには、2社間・3社間の2種類があります。


・2社間:ファクタリング会社、ファクタリングの利用者


・3社間:ファクタリング会社、ファクタリングの利用者、取引先


それぞれの特徴や仕組みについて解説します。


  (1)2社間(2者間)のファクタリング

 



2社間ファクタリングとは、ファクタリング会社とファクタリングの利用者で契約するファクタリングです。


取引先の合意が不要なため、取引先にファクタリングを利用することを知られることはありません。自社の資金繰りが苦しいことを知られず、良好な関係を保てる可能性があります。


2社間のファクタリングは、以下の流れで行います。


1.利用者から取引先へ請求書を送付する


2.利用者がファクタリング会社へ申し込みをする


3.ファクタリング会社による審査後、利用者へ細かい条件を提示される


4.利用者の合意後に契約をする


5.売掛債権を売り、手数料を差し引いた金額が振り込まれる


6.取引先から売掛金を回収できたら、ファクタリング会社に支払う


2社間のファクタリングは、3社間に比べると手続きが簡単で、素早くお金が受け取れるメリットがあります。しかし、手数料が高くなる傾向にあるため、複数のファクタリング会社をよく比較し申し込むことをおすすめします。


  (2)3社間(3者間)のファクタリング


3社間のファクタリングは、ファクタリング会社とファクタリングの利用者に加え、取引先も巻き込んで合意を行う方法です。


1.利用者から取引先へ請求書を送付する


2.利用者がファクタリング会社へ申し込みをする


3.審査の通過後、利用者へ細かい条件を提示される


4.利用者が条件に合意後、取引先へ債権譲渡通知をして合意をもらう


5.契約の締結後、手数料を差し引いた金額が振り込まれる


6.取引先からファクタリング会社へ売掛金であったお金が振り込まれる


取引先の合意が必要な分、2社間のファクタリングに比べ、手続きに時間がかかる傾向にあります。また、取引先に資金繰りが苦しいと知られてしまうことに注意しましょう。


3社間のファクタリングは、医療機関が早めに診療報酬を受け取りたい時にも用いられます。


医療機関は患者から自己負担分の診療報酬を受け取りますが、残りの診療報酬を受け取るためには、審査支払機関へ請求する必要があります。この手続きには3ヶ月程度かかるため、診療報酬を早く受け取りたいと考える医療機関は、ファクタリング会社・医療機関・審査支払期間の3者間ファクタリングを行います。


このファクタリングは「医療ファクタリング」とも呼ばれ、資金繰りに悩む医療機関に用いられています。


・ファクタリングのメリットは?


ファクタリングのメリットを7つ紹介します。


  負債を負わずに資金を調達できる

金融機関などから借入や融資を受けると、負債として計上するため、決算書の見栄えが悪くなったり、心理的なストレスを感じたりなどの影響が生じます。


ファクタリングは売掛金を現金として早期に受け取る仕組みであるため、利用しても負債が増えることはありません。


  担保や保証人が不要

融資を受ける場合は、担保や保証人を求められるケースがあります。例えば、不動産を担保に融資を受けていれば、返済できないと不動産が差し押さえられてしまいます。


ファクタリングは融資ではないため、そのような担保や保証人を提供する必要はありません。資金調達の方法としては、比較的使いやすい方法と言えます。


  入金までの期間が短い

融資は金融機関で審査を行うため、数日から数週間の期間を経て入金されます。


ファクタリングは審査がスピーディに終わるため、早ければ即日で入金してもらうことも可能です。取引先への支払い期日が迫っているなど、早急にお金が必要になった場合に役立ちます。


  赤字でも利用できる

ファクタリングで主な審査の対象となるのは、売掛金を支払う取引先の支払い能力です。自社の支払い能力は問われないため、業績が悪化していたり、税金を滞納していたりしてもファクタリングを利用できます。


  取引先の倒産に備えられる

ファクタリングと同じように早期に現金を受け取れる手形割引ですが、現金を受け取ったのち取引先が倒産すると、自社で決済する義務が生じます。


しかし、ファクタリングはそのような義務がないため、取引先の倒産や経営状態の悪化などによる理由で売掛金を回収できない場合にも、ファクタリング会社に返金する必要はありません。


  個人事業主でも利用できる

ファクタリング会社の中には、個人事業主でも利用できるサービスを提供しているケースもあります。


ファクタリングと言うと、法人が持つ売掛金を買い取るサービスを指すことが一般的です。しかし、中には個人事業主が持つ売掛金を対象としたサービスも存在します。独立したばかりの個人事業主であっても簡単な手続きで入金してもらえるケースもあるため、必要が生じた際にはリサーチしてみましょう。


  業種に関係なく利用できる

ファクタリングは、サービス業や小売業、建設業・製造業など、さまざまな業種を対象としたサービスです。ファクタリングの対象となる条件について事前にチェックすることは必要ですが、基本的に幅広い業種の事業者が利用できます。


・ファクタリングのデメリットは?

ファクタリングを安全に利用するために、デメリットについても把握しておきましょう。


  手数料によっては利益が大きく減少する

ファクタリングは本来もらえるはずの利益から手数料を差し引いた金額を受け取るものであるため、手数料の割合によっては、利益が大きく減ってしまう可能性があります。


事前に複数のファクタリング会社をチェックし、手数料の割合を比較してから利用することが求められるでしょう。また、比較的手数料の割合の低い3社間ファクタリングを利用する方法もあります。


  依存してしまう可能性がある

ファクタリングによって早期に現金化することに慣れてしまうと、利益が減って資金繰りが悪化し、またファクタリングを使うといったサイクルが生じる可能性があります。


ファクタリングに依存すると資金繰りが悪化する原因となるため、本当に必要なタイミングで申し込みを行うことが大切です。必要に応じて、金融機関の融資などの方法も検討するようにしましょう。


  トラブルに巻き込まれるリスクがある

ファクタリング会社ではないのにもかかわらず、ファクタリング会社を装い、高金利でお金を貸し付ける「偽装ファクタリング」のトラブルが発生した事例があります。


また、ファクタリング会社であっても、手数料の割合が非常に高かったり、適切に入金されなかったりなど、悪質な会社であるケースもあります。信頼性のある会社であるかどうか、事前のリサーチが必要と言えるでしょう。


・ファクタリングが役に立つ場面とは?

ファクタリングが役に立つケースを3つ紹介します。


  業績が悪化した時

業績が悪化してお金が必要になった時、金融機関の融資を申し込んでも、審査が通らない時があります。そのような状況で、給与や家賃などの支払いの期日が迫っている場合、ファクタリングを利用して早期にお金を調達することを検討します。


ファクタリングは、自社が保有している資産よりも負債の方が多い債務超過の状態に陥っていたり、支払うべき税金を滞納していたりする場合にも利用できます。金融機関の融資を受けられなくても、ファクタリングによって経営を立て直すきっかけになる可能性があります。


  大口の案件を受注する時

大きな案件を受注する際、仕入や外注のために多額のお金が必要になることがあります。そのお金を用意できないと案件を受注するチャンスを逃してしまうという場合、ファクタリングによる資金調達が役立ちます。


金融機関の融資は、金額や枠数などに上限が定められていることが多いため、健全に運営されている事業でも、必ずしも審査が通るとは限りません。ファクタリングで資金調達をすることで案件を受注できれば、大きな利益を得られるチャンスとなります。


  少額の資金が必要な時

中小企業や個人事業主は、一時的に少額の資金が必要になることもあるでしょう。銀行の融資を受けるほどでもなく、かと言って消費者金融で借入をするのは抵抗があるというケースもあるはずです。


そんな時でも、ファクタリングであれば少額の資金を調達しやすい特徴があります。スマートフォンからでも申し込めるファクタリング会社も多くあるため、小さな規模の事業でも比較的気軽に利用できる傾向にあります。


なお、申し込みできる最低金額はファクタリング会社によって異なるため、公式ホームページなどを参考に比較検討することが大切です。


・ファクタリングを利用する際の注意点


ファクタリング会社を利用する際は、ファクタリングを装って高金利でお金を貸し付ける偽装ファクタリングではないか、注意して契約を結びことが必要です。安全なサービスであるかどうか判断するためには、契約前に以下のポイントをチェックすることをおすすめします。


・契約書に「債権譲渡契約」と記載されている


・手数料の金額や割合が適切である


・売掛金が回収できない場合、利用者が負担する必要がない(償還請求権の記載がない)


また、個人の利用者が勤務先からの給与を売り、支給日よりも早くお金を得られる給与ファクタリングと呼ばれるサービスもあります。給与ファクタリングは将来の給与を担保に借入をするものであり、消費者金融からの借入と同じ仕組みです。一般的なファクタリングとは別物であると覚えておきましょう。


  1:買取型の注意点

買取型のファクタリングでは、契約前に以下のポイントを把握しておきましょう。


・取引先との契約書に「債権譲渡禁止」と記載されていないか


・不良債権ではないか


・手数料を差し引いても必要な額の利益が残るか


取引先と交わした契約書に「債権譲渡禁止」とある場合、ファクタリングを利用することを避けた方がいいでしょう。また、不良債権はファクタリングの対象外である点に注意が必要です。


  2:保証型の注意点

保証型のファクタリングは倒産や業績悪化などで売掛金が回収できない時に保証を受けられる保険のようなサービスですが、ファクタリング会社が回収不能と判断しないと、保証金が入金されません。


未払金が発生した際も、入金があるまでに時間がかかったり、ファクタリング会社が定める規定に該当せず入金されなかったりするリスクがあることを覚えておきましょう。


・ファクタリングの現金化にかかる時間と手数料の相場

ファクタリングは、必要な書類の準備やアップロード、審査に時間が発生するため、利用を決めてから実際に入金するまで、どのくらいの時間がかかるか事前に把握しておくことが大切です。


最近はオンラインでスピーディに手続きを進められるファクタリング会社も増えています。早ければ当日中に振り込まれるサービスもあるため、急にお金が必要になった際は、スピードを重視したサービスを選ぶことも可能です。


ファクタリングの手数料は、2社間の場合は10%〜20%程度、3社間の場合は1%〜9%程度が目安とされています。会社の信用度などの状況によっても手数料の割合は変化するため、時間に余裕があれば、事前に見積もりをして決めるケースもあります。


・ファクタリングの申し込みに必要な書類とは?

ファクタリングを利用する際の必要書類について、審査時・契約時の2つに分けて紹介します。


  審査時に必要な書類

審査時に必要な書類は、利用するファクタリング会社によっても異なりますが、以下の書類を準備するケースが一般的です。


・法人登記簿謄本(法人の場合)


・印鑑証明書


・身分証明書


・決算書(個人事業主は確定申告書)


・売掛金の内容を証明できる書類(請求書など)


・取引先との契約書


・金融機関の入出金明細


対象となる売掛金が少額である場合や、スピーディな入金を売りにしたサービスである場合は、少ない種類の書類で済むこともあります。


  契約時に必要な書類

契約時はファクタリング会社が契約書を作成するため、内容に問題がないか細かくチェックした上で提出しましょう。また、この時点で代表者の身分証明書の提示を求められることもあります。


まとめ

ファクタリングは、借入や融資を受けずに早期に資金調達できるメリットがあります。本来の売掛金の金額から手数料を差し引かれますが、適切に利用することで、事業の資金繰りを改善するために役立ちます。


利用する際は、ファクタリング会社の信頼性や契約内容をよくチェックした上で申し込むことが大切です。ファクタリングの仕組みやメリット・デメリットをよく理解し、慎重に利用することが必要でしょう。


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※「保証型ファクタリング」の参考にしました。


売掛金・債権の未回収に備える。売掛保証はURIHO(ウリホ)


保証ファクタリングとは


※「ABL」の参考にしました。


ABL(売掛債権担保融資・動産担保融資)|ヤマトクレジットファイナンス株式会社


※「個人事業主向けファクタリング」の参考にしました。


labol(ラボル)| フリーランスの報酬を即日先払い


※「ファクタリングに関するトラブル」の参考にしました。


ファクタリング会社に悪徳業者はいる?手口の事例や見分け方を解説 | 株式会社ビートレーディング


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【執筆者】ニッキンONLINE編集部



 



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