いまさら聞けない時事用語 フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)

2023.07.02 04:30
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「Fiduciary duty」は、日本人には馴染みの薄い英語だろう。フィデューシャリーは「受託者」、デューティーは「責任、義務」を意味する。直訳すれば「受託者が負う義務」であり、金融庁が使う「顧客本位の業務運営」はあくまで意訳だ。フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)


本来は、信託の受託者が委託者や受益者に対して負う義務を指す。英米では幅広く用いられる概念であり、法律にも頻繁に登場する。自分の利益を後回しにしてでも、クライアントのために忠実に義務を果たすことを求めるものだ。
 金融庁は、2014年9月に公表した「金融モニタリング基本方針」の中で、初めてこの言葉を使った。資産運用商品の開発、販売、運用、資産管理に携わるすべての金融機関に対し、自社都合の利益追求ではなく、顧客志向の業務遂行を求めたのが特徴だ。
 さらに、同庁は17年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定した。「金融事業者は、顧客の資産状況、取引経験、知識及び取引目的・ニーズを把握し、当該顧客にふさわしい金融商品・サービスの組成、販売・推奨等を行うべきである」(原則6)など7つの原則からなり、各金融機関はそれぞれの原則に示された内容を実施するか否かを自主的に表明する仕組みとなっている。
 23年通常国会に提出された金融商品取引法等改正案には、顧客の利益を考えて誠実かつ公正に業務を遂行する義務を金融機関が負っていることが明記された。国会閉幕による時間切れで審議は先送りとなったが、次期国会以降での成立が見込まれている。

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