ゼロゼロ融資とは?仕組みや返済負担軽減のための保証制度などを徹底解説!

2023.05.29 17:25
ゼロゼロ融資
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ゼロゼロ融資

ゼロゼロ融資を活用してコロナ禍における赤字を回避した企業は多いです。既に融資の返済を始めている企業もあり、これから本格的に返済を始める場合は不安もあるのではないでしょうか。ここでは、ゼロゼロ融資とは何なのか、そして返済の負担を軽減するための保証制度等についてご紹介します。


 


ゼロゼロ融資とは一体何?


ゼロゼロ融資とは、実質無利子・無担保で行われた、新型コロナウイルスによる影響で売り上げの減った企業を支援するために行われた融資のことを言います。利子を公的機関が3年間負担し、さらに返済できない場合も信用保証協会が肩代わりを行うという特徴があり、利子も担保もゼロで融資が受けられるためゼロゼロ融資と呼ばれています。


ゼロゼロ融資の受付は既に終了していますが、コロナ禍で資金繰りに苦労した多くの中小企業はゼロゼロ融資を活用し、特に原材料の高騰や円安の影響などを受けやすい個人消費に関連する事業では利用率が高かったとされています。


・ゼロゼロ融資の仕組みは?

ゼロゼロ融資を行ったのは、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫といった政府系の金融機関と、民間の金融機関です。融資の対象となったのは、新型コロナウイルスによる影響で売り上げが減った個人事業主や小・中規模事業者で、その利益の低下を補填するために行われた施策です。


期間中は上限まで何度でも借り入れが可能となっており、ゼロゼロ融資を利用して個人事業主や小・中規模事業者の赤字を回避してきました。


民間金融機関が行ったゼロゼロ融資では、融資上限額は4,000万円(拡充前は3,000万円)、融資期間は10年以内で、元金の返済が猶予される期間は5年以内となっています。また、日本公庫では、零細企業や個人事業主には最大6,000万円、中小企業には最大3億円の事業資金を借りることが可能でした。


・ゼロゼロ融資の期間はいつまで?

ゼロゼロ融資が始まったのは、2020年3月のことです。申込みは既に終了しており、民間の金融機関は2021年3月まで、政府系金融機関は2022年9月までとなっています。当初、申込みの期間は2022年6月までとされていましたが、その期間が延長され9月末までになった経緯があります。


ゼロゼロ融資で借り入れたお金の返済は、既に始まっています。据え置き期間を3年に設定して融資を受けた企業の場合、2023年の夏ごろから返済を始めるケースが多いと考えられています。


・ゼロゼロ融資の広まりはどのくらい?

ゼロゼロ融資が始まった2020年3月は、既に新型コロナウイルスの影響を強く受けた企業が多く、融資が始まった段階で申し込みが殺到しました。その後、申込数は減少したものの、民間の金融機関の申し込み期限前に再び増加し、最終的に国全体の融資実績は42兆円に達したと言われています。


特に、旅行業や製造業、飲食業を行う企業からの申込みが多く、十分に広がりを見せたと言えるでしょう。


・ゼロゼロ融資の返済はもう始まっている


先程もご紹介したように、ゼロゼロ融資の申し込みは終了しており、資金の返済を既にスタートしている企業も多いです。返済を開始する時期は、2023年7月~2024年4月あたりとなる企業が多いと予想されています。


しかし実際は、新型コロナウイルスの影響で長期にわたる収入減や物価高の影響により、業績が伸び悩んだり赤字からの回復が難しかったりして、依然として資金繰りに苦労している企業が多いのも現状です。新型コロナウイルスの影響は徐々に緩和されたものの、依然として赤字に陥っている企業も少なくないと考えられています。


このような現状のなか、ゼロゼロ融資の返済時期が訪れると、支出が増えて二重苦の赤字を招く恐れも出てきます。企業によっては、ゼロゼロ融資の返済が大きな不安となって押し寄せてくるかもしれません。


・ゼロゼロ融資返済の負担を軽減するための対策

ゼロゼロ融資の返済を控えている場合は、できるだけ早めに対策を立てておく必要があります。返済に不安を感じているのであれば、負担を軽減できる方法もとれるように準備していきましょう。


  猶予申請をする

融資の返済が難しい場合、一般的には借り入れ先へ猶予申請をする方法が一番に考えられるのではないでしょうか。金融庁などは、各金融機関に対して据え置き期間の延長などに柔軟に応じるよう要請していることから、現在の状況で返済が苦しい場合も前向きに検討してくれると期待できます。まずは、借り入れをした金融機関に相談をして、据え置き期間が延長できないかどうか、申し出ると良いでしょう。


しかし、猶予申請をしても業績が改善せず返済ができない場合は、その他の方法も検討していく必要があります。その他の方法として代表的なのが、以下の2つです。


  コロナ借換保証を利用する

2023年1月10日より、経済産業省は「コロナ借換保証」の施行を発表しました。これは、ゼロゼロ融資の返済が難しくなった企業が返済不能にならないように、さらに利率の低い別の金融機関から借り入れを行い、そのお金で元の借り入れ先への返済に充てるための制度です。


コロナ借換保証を活用すると、毎月の支払いの負担が減り、赤字の改善につながります。また、融資の返済だけでなく、資金調達としても有効な方法です。この制度を利用すると、支払い義務が生じていた全期間の保証料も大幅にカットされることとなり、負担を大きく減らすことができます。


  M&Aを用いた事業継承を行う

事業継承型M&Aとは、複数の企業を1つに合併したり、他の企業の株式や事業を買収したりすることを指します。後継者がいないなどの理由で事業を引き継ぐ人がいない場合は、適正な継承先を外部に求めることが可能です。


この事業継承型M&Aでは、連帯保証を気にしなくても良いことや、従業員や取引先を引き継ぐことができるのがメリットです。現在の事業をそのまま、従業員の生活や取引先との関係を確保しながら経営者の連帯保証や担保提供をはずすことができます。


・コロナ借換保証の利用方法を紹介


コロナ借換保証は、ゼロゼロ融資の返済のリスクヘッジとして設けられた制度です。ゼロゼロ融資の返済が難しい場合の対策として検討したい方も多いのではないでしょうか。具体的に、コロナ借換保証を利用する手順についてご紹介します。


  手順1:要件を確認する

コロナ借換保証を利用するには、一定の要件を満たす必要があります。中小企業庁より公表されている認定要件を確認しましょう。


・セーフティネット4号の認定(売上高の20%以上が減少している。直近1ヶ月間の実績と今後2ヶ月間の見込みと前年同期の比較、または新型コロナウイルスの影響を受ける前との比較)


・セーフティネット5号の認定(指定業種に該当し売上高が5%以上減少している。直近3ヶ月間の実績と前年同期の比較、または新型コロナウイルスの影響を受ける前との比較)


・売上高が5%以上減少している(直近1ヶ月の実績と前年同月との比較)


・売上高総利益率/営業利益率が5%以上減少している(直近1ヶ月の実績と前年同月の比較、または直近2年分の決算書を比較)


参照:民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。|中小企業庁


  手順2:経営行動計画書の作成

先ほどの要件を満たした場合のみ、次のステップへと進むことができます。経営行動計画書は金融機関との対話を通じて作成するもので、現在の経営状況や今後5年間の取り組み計画、改善目標などをまとめます。


  手順3:セーフティネット保証の申請

経営行動計画書を作成後、金融機関が与信審査等を行います。そして、市区町村にセーフティネット保証の認定申請を行います。認定申込み後は、保証協会が保証審査を行います。経営行動計画書も、保証協会へ提出されることとなります。


  手順4:金融機関からの融資

審査が通ったら、金融機関から融資が行われます。その後も、継続的に金融機関と関わり支援を受けながら事業を続けていくこととなります。


  コロナ借換保証を利用する際の注意点

コロナ借換保証は、ゼロゼロ融資における実質無利子の期間中に返済ができない場合に便利な制度です。しかし、据え置き期間が長期となる融資は審査のハードルも高くなりやすいことから、申請では事業計画をしっかりと立てて資金繰りを見通す必要があります。


経営行動計画書は金融機関との対話で作成していくものとなりますが、必要に応じて税理士等に関わってもらうなど、数字に強い専門家のサポートも得ながら考えていくことが大事です。


 


まとめ

ゼロゼロ融資の返済は、既にスタートしている企業も多いです。融資の返済に向けて、早い段階で返済計画を立てて資金繰りをしておきましょう。必要によっては、コロナ借換保証などの手段を検討する必要も出てくるかもしれません。もし、返済に困った場合は、積極的に金融機関に相談をして補助制度等の活用を考えていきましょう。


 


【執筆者】ニッキンONLINE編集部


 

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