銀行員は資格必須?おすすめの資格やキャリアアップに役立つ資格、勉強方法などを解説

2023.05.23 17:24
人材育成 資格
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銀行員になると、仕事の内容や立場によって資格が必須となることもあります。本記事では、銀行員が取得しておくと便利な資格や勉強方法についてご紹介します。


目次


 


銀行員になるには資格が必須?


結論から言うと、銀行員になるための必須資格はありません。資格がなくても、就職活動をして受かれば銀行員になることができます。しかし、銀行の業務に活かせそうな資格を持っていることは、就職活動時のアピールポイントにもなり、入行後の仕事内容によっていずれ必要となる資格もあるため、定番の資格や取得の必要性が高い資格は持っておくのがベターです。


銀行では、金融商品の販売や生命保険・損害保険の販売、不動産についての相談など、さまざまな業務があります。仕事内容によっては必須になる資格はいくつかあり、必要によっては急いで資格取得を目指すケースもあるでしょう。必須ではないものの持っておくと役立つ資格もあります。


・銀行員に必要な資格の選び方とは?

銀行員として身に付けておくべき資格について、何を基準にして選べば良いか迷った際は、以下のポイントを意識して検討してみてはいかがでしょうか。


  銀行への就職に有利な資格から選ぶ

銀行員として働くための資格はないものの、業務の内容によっては有利になる資格もあります。採用側としては、既に資格取得のために勉強をしている人材の方が、高い評価をつけたくなるのは当然のことです。


また、資格取得に向けて努力したという熱意や、努力ができることを示すことができ、「入行後も高い意識を持って仕事をしてくれそうだな」と認められる可能性もあるでしょう。


  実務に役立つ資格

配属される部門によっては、必須となる資格もいくつかあります。例えば、融資を行う部署であれば簿記の資格は必須です。金融商品の販売においては、証券外務員も取得しなければなりません。


入行が決まっていないうちに、どの資格が必須になるのかは分かりませんが、実務に役立つ資格や必須となる資格をあらかじめ取得しておけば、いざという時に慌てずに済みます。


  メガバンクなら英語力も求められる

みずほ銀行や三菱UFJ銀行、三井住友銀行といったメガバンクでは、海外への進出にも積極的なことから、英語力を存分に活かせる人への評価も高いと言われています。金融に関する知識はもちろんですが、高い英語力を実際に求めTOEICの基準をクリアしなければ学習を勧められるケースもあるほど、英語力があることは大きな武器になります。


  昇進にあたり資格が求められることも

銀行員として長く働き、結果を残していけば、昇進のチャンスもめぐってくるでしょう。その際に、資格の取得が条件になることもあります。監督者として問題ないことが明らかとなるような、知識やコンプライアンスの理解を証明できる資格は、課長以上のレベルでは必須となるでしょう。


・銀行員を目指す・内定期間中の人におすすめの資格


これから銀行員として働きたい、就職活動をしたいと考える方や、銀行への内定が決まり準備を進めておきたい人におすすめの資格を見てみましょう。


  普通自動車免許

特に地方銀行に就職するのであれば、普通自動車免許は必須と言えます。営業や出張で外回りをする機会が非常に多いことを考えると、内定期間中や就職活動までに取得しておくのが無難です。普通自動車免許の取得にはある程度期間や時間もかかります。就職してから取得するのは、時間を確保する上でも厳しいと予想されるため、学生のうちに取得しておきましょう。


  FP2級

FP(ファイナンシャルプランナー)の資格は1級~3級までありますが、実務に役立てるのは2級以上だと考えられています。3級では基本的な知識を問われますが、2級からはより専門的で幅広い知識が必須となり、合格率も大きく変わってきます。ただ、2級の受験資格を得るには条件もあり、3級を取得しておくことにも意義があります。


FP2級の試験は、「日本FP協会」と「金融財政事情研究会」の2つの団体が実施しており、試験の内容に少し違いがありますが、どちらもパスすればFP2級を取得できます。


  日商簿記検定

日本商工会議所と各地の商工会議所が実施している、簿記検定試験です。初級~4級までがあり、銀行員になりたい人が目指しておくに相応しいのは2級もしくは3級です。3級は、経理関連の書類が読み取れるレベルで、2級は初歩的な原価計算や商工企業での経理担当に必要な知識が身に付くレベルだと言われています。


経理や財務に携わらなくても、あらゆる業種に必要なビジネススキルの1つとして考えられることも多く、金融業界以外でも新入社員には3級の取得を必須とするなど、汎用性も高い資格です。受験者は年間50万人を超え、社会的にも信頼が厚いことから、大学等での単位認定の基準に採用されることもあります。


  TOEIC®️

日本では、英検に並ぶ認知度の高い英語資格試験です。銀行によっては、昇給にあたりTOEIC600点以上や730点以上などの条件が設けられていることもあるほど、英語力が高いことは重要なポイントです。学生など、就職活動を行っているうちにTOEICを受験しパスしておくと、アピールポイントにもなるでしょう。


・銀行入行後に取得するケースが多い資格

銀行に入行してからも、さまざまな資格に挑戦する機会は多いです。働きながら、どのような資格をとる人が多いのか確認しておきましょう。


  ファイナンシャルプランナー1級

ファイナンシャルプランナーの資格は国家資格と民間資格とがありますが、銀行に入行後は国家資格であるファイナンシャルプランニング技能士(FP技能士)の1級は難易度が高く、銀行員の中でも2級に比べてはるかに取得者数が減ります。FP1級となると、金融リテラシーが高く個人・法人のどちらにも役立つ専門知識があることの証明にもなり、課長レベルを目指す人は目指しておきたい資格です。


  銀行業務検定

財務や外為、法務など、銀行員として身に付けておきたい知識を習得できる、実用性の高い資格です。入行1年目から取得が推奨される傾向にあり、早い段階で取得すべき資格とも言えるでしょう。銀行や保険を扱う方を対象にした検定でもあり、教育研修事業として活用されています。難易度は易しい部類に入り、受験資格も特にありません。


  生命保険・損害保険募集人

銀行の窓口では、保険会社からの委託によってさまざまな保険商品を扱っています。生命保険の販売には生命保険募集人資格、損害保険の販売には損害保険募集人資格が必須です。入行後、できるだけ速やかに取得しておきたい資格でもありますが、基本的にどちらもさほど難易度は高くありません。試験はインターネットからテキストを見ながら行うことができます。


  証券外務員(外務員資格検定)

株式や投資信託といった金融商品を扱う上で必須となる資格です。株式や投資信託等の金融商品の販売では必須とも言える資格で、一種と二種があります。二種は扱える金融商品の制限があるため、銀行員として仕事をしていく上では一種を目指すのがおすすめです。試験は通年にわたって受けることが可能で、パソコンで行うため気軽に挑戦できます。難易度は、一種でもさほど高くはなく、チャレンジしやすいでしょう。


・銀行員の出世・キャリアアップ・転職に有利な資格

キャリアアップを目指していきたい方は、昇給や転職に有利な資格取得を目指しましょう。銀行によっては、昇給時に必須となる資格が設けられているケースもあります。勉強ができるうちに積極的に取得しておくのがおすすめです。


  金融コンプライアンスオフィサー2級

金融業界で働くにあたり、必要不可欠なコンプライアンスについて身に付く資格です。実務にすぐ役立つだけでなく、ルールや常識といった金融業界での当たり前を再認識する機会にもなります。こちらは、課長クラス昇進までには取得しておきたい資格で、早い段階で取得しておくに越したことはありません。


  証券アナリスト

証券取引において、データの分析や投資価値の評価をもとに運用の助言を行う人のことを証券アナリストと言います。この資格があることで、証券分野の専門的な知識を持っていることが証明でき、課長クラスへの昇進には必要となってくるでしょう。日本では、CMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)のことを指します。


  中小企業診断士

多くの銀行で取得が推奨されている、代表的な資格の1つです。中小企業の経営課題に対応するための診断や助言を行う、スペシャリストであることが証明できます。法人営業では、名刺にこの肩書きがあるだけで、信頼度も増します。受験資格は特に厳しい条件がありませんが、試験の難易度はやや高めです。内容も、一次試験・二次試験・実務補修と段階を踏んでいくため、計画的に進めていく必要があるでしょう。特に二次試験は難易度が高いことから、予備校で学ぶ方も珍しくありません。


  アクチュアリー

日本では、保険数理士とも呼ばれる資格です。統計学や確率論などをもとにデータを使って生命保険事業や損害保険事業、企業の資産運用などを分析・評価します。金融分野では保険料率や支払保険金額の算定などを主に行いますが、銀行では企業コンサルティングの一貫で企業年金制度の運用コンサルティングを行うこともあります。非常に難易度の高い資格であることから、そう簡単には目指せるものではないかもしれませんが、取得できれば活躍の場も大きく広がることでしょう。


  宅地建物取引士(宅建)

宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格で、主に不動産売買に携わる方が取得する資格です。銀行では、顧客が不動産の購入に際し融資担当者として関わることもあり、この時に宅地建物取引士があると不動産担保登記や不動産評価などの業務に役立ちます。また、銀行員から不動産業界への転職を考える時、この資格があると銀行での営業経験にプラスしてアピールできる要素になり、有利に進めることができるでしょう。


  不動産鑑定士

不動産鑑定士は、不動産関連の資格では最上級に位置するとも言われており、高度な専門性をもつ人材として重宝される存在です。独占業務である不動産の鑑定評価は、不動産鑑定士しか行うことができません。つまり、この資格があると不動産関連のレベルの高い業務に従事できるきっかけとなり、キャリアアップも望めます。難易度は高いですが、銀行員としてのキャリアアップや不動産関連の仕事への転職には有利になり、活躍の場も広がります。


  税理士

正しい税金の知識を持つ、税のプロフェッショナルです。銀行では、法人営業で財務諸表を適切に読み解くことができるようになり、税務相談にも役立ちます。融資だけではなく、もっと広い視野で全体的なコンサルティングを行えることから、よりよい運用のための提案などを通して顧客の信頼を得たい方におすすめです。通常、税理士は正しい税の計算と申告ができているかをチェックするのが仕事ですが、銀行員として税理士資格を持っていると仕事の内容に深みが生まれるでしょう。また、銀行員から税理士への転職を考える人も珍しくはないことから、将来的に職の選択肢を多く持ちたい方にもおすすめです。


  内部管理責任者

銀行の支店や部署の適切な運営を管理し統括する役割を持つ方のための資格試験です。入行後、必ずしも全員が必要になる資格ではありませんが、主に総務部門でのキャリアアップを目指したい方にはいずれ必要になる可能性が高いと言えるでしょう。


・銀行員が持っておくといい資格は他にも

上記でご紹介した資格以外にも、銀行員として働く上で役立つ資格はあります。例えば、以下のような資格は実務にも役立つ可能性が高いでしょう。


・ITストラテジスト


IT関連の資格ではかなり上位の資格です。難易度も高いですが、近年のIT技術の高まりに対応できる人材はどの業界でも重宝されます。


・MBA(経営学修士)


経営学で大学院修士課程を修了すると取得できます。MBAはビジネス現場での活躍に重きを置いた学習が進められることから、企業経営のコンサルティングでの信頼性が増すでしょう。


・行政書士


公的書類の作成や官公庁に提出する手続きの代理などが行える資格です。転職や独立開業を考えている場合、銀行員であるという経験がプラスされると税務関係や融資などの知識も十分に活かしながら仕事ができます。


・社会保険労務士


人事や人材に関わる専門的な知識を持っているとして重宝される資格です。銀行の人事部などでは、特に昇進の可能性が高まるでしょう。


・資格取得のためのおすすめの勉強法はある?


銀行員におすすめの資格は、難易度の低いものから高いものまでさまざまです。いずれにしても、学校や仕事と両立しながら勉強していくには、効率的に確実に進めていくことが大切になります。


まずは試験までの日程を見ながら勉強の計画を立てていきましょう。自分で勉強の全体像をイメージしておくことで、計画も進めやすくなります。いつまでにどのくらいの勉強を達成するのか目標を決めて、やるべき項目に優先順位をつけます。そして、毎日何時間勉強に費やすのかといった小さな目標も決めておきましょう。


  1:すき間時間・短い時間での勉強方法

まとまった勉強時間の確保が難しい場合は、すき間時間が有効に使えるような勉強法を取り入れるのもおすすめです。短い時間で勉強をするときは、テキストのポイントを暗記するなど、手軽な方法が適しています。つまり、すき間時間の勉強は、インプットを意識して行うのがコツです。


近年は、スマホを用いて学習できるケースも多く、希望の資格によっては通信講座も充実しているでしょう。すき間時間の活用には、スマホ学習で効率的に行うのも1つの方法です。実際、空いた時間にはついスマホを手に取り動画鑑賞やゲームをしてしまう方も多いのではないでしょうか。その時間を勉強時間に置き換えれば、意外と多くの時間が作れるかもしれません。


  2:長めの時間での勉強方法

長時間の勉強時間が確保できる時は、インプットではなくアウトプットを意識した勉強がおすすめです。練習問題は、長時間の学習に特におすすめの方法です。練習問題をして答え合わせをし、間違った部分を見直して再度挑戦する、という繰り返しが精度を高めていきます。


参考書の活用はとても便利ですが、たくさん購入するとかえって無駄になってしまうこともあります。特に勉強時間の確保が難しい人の場合は、複数の参考書を取り入れようとするよりも1冊を何度も読み返し問題を解くことが効率性を高めることも多いです。


 


まとめ

銀行員になるための必須資格はありませんが、入行後に必要となる資格や昇進の条件になる資格はいくつかあります。資格をとることで仕事の幅が広がったり転職に有利になったりするものもあるため、資格の内容をみて優先順位をつけながら取得を目指していくのがおすすめです。入行後に資格の勉強を始める場合、時間に限りがある場合も多いため、闇雲に取り組むのではなく計画的に進めていくようにしましょう。


 


【執筆者】ニッキンONLINE編集部


 

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