国債とは?仕組みや種類、利回り、メリット、購入の流れなどを徹底解説!

2023.05.17 16:28
国債
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク
国債

「国債」という言葉からは安全な投資方法というイメージがありますが、具体的に国債とはどのようなものでしょうか?本記事では、国債の概要、発行される仕組み、種類、金利・利回りなど、初めて国債の購入を検討されている方にもわかりやすくご紹介します。


 


国債とは?


国が発行する債券が国債です。債券とは、そもそも資金を借り入れるときに発行される有価証券(財産的な価値を証明する書類)のことです。債券は発行される団体により名称が違い、日本国が発行する債券を、「日本国債」、地方公共団体が発行する債権を、「地方債」と呼びます。


国家は、インフラ整備や社会保障の整備などの費用には、一般的に税金を充てますが、税収入で賄いきれなくなった場合、国は国債を発行します。国債は、法律で定められた発行根拠に基づき発行します。債券は借用証書の一種ですので、 国債を購入することは、国へ投資するということです。「投資家=債権者」「国家=債務者」と考えるとわかりやすいでしょう。


満期まで保有しておけば、元本は満期時に返却され、利子は半年に一度受け取れます。ただし、割引国債は途中での利払いはなく、満期時に額面金額で償還されます。


 


国債が発行される仕組みとは?

国は、インフラ整備などの資金を調達するために、国債を発行することで投資家からお金を借り入れ、不足分を補っています。具体的には、財務省から発行された国債を、証券会社や銀行などの金融機関が仲介役となって販売し、投資家から需要を受け付けます。そして、国債の需要と供給が調整され、発行額が決定されるという仕組みです。また、国債は満期になると元本が投資家に償還され、発行時に定められた利率にもとづいて利子が支払われます。


国債の仕組みは、簡単に表すと、以下のようになります。



また、国債は債券市場で自由に売買でき、需要と供給によって利率が変動するため、金利の動向により、価格は上下するのが特徴です。


 


国債の種類は?

国債とひと言でいっても、以下のとおり、個人で購入できる個人向け国債をはじめ、さまざまな種類があります。では、種類別に概要、最低購入額、購入できる単位などを見ていきましょう。


  1:固定利付国債(こていりつきこくさい)

一定の利率が決まっており、償還期間中に利率が変動しない国債を総称して、固定利付国債と呼んでいます。期間は、2年、5年、10年などがあり、購入単位は、額面5万円以上、5万円単位となっています。また、利息の受取りは、年2回(半年ごと)です。比較的リスクの低い投資として人気があります。


  2:変動利付国債(へんどうりつきこくさい)

変動利付国債は、半年ごとに利息を受け取れる点は、固定金利型と同じですが、利率はその時々の景気や物価を反映した市場実勢に伴い変動します。そのため、金利の低下により収益が減少するリスクがあります。利率は 利払い日前の金利水準にもとづいて決定されます。


  3:個人向け国債(こじんむけこくさい)

個人投資家向けの国債で、毎月募集されています。国債に投資する機会を一般の個人投資家にも提供し、国債市場を活性化することが目的です。期間は3年・5年・10年とあり、3年・5年は固定金利型、10年は変動金利型です。1万円から購入できるため、初心者でも始めやすく、リスクも少ないため、個人投資に適した国債です。利子は、半年ごとに受け取れます。また、最低でも金利0.05%が保証されています。


  4:新窓販国債(しんまどはんこくさい)

新窓販国債は、平成19年10月から、これまで郵便局だけで実施されていた委託販売方式を民間の金融機関まで拡大し、窓口販売方式として新たに発行されました。2年・5年・10年満期と3タイプあり、それぞれ固定利付国債です。また、売却したいときは、市場価格でいつでも売却することが可能です。ただし、売却損が出ることもあるので注意が必要です。


  5:復興応援国債(ふっこうおうえんこくさい)

東日本大震災からの復興支援を目的として発行された国債です。変動10年型の個人向け国債をベースに、当初3年間は、低金利0.05%で、復興事業資金に賛同してくれる方を募っていました。なお、本国債は、平成24年12月募集で終了しており、今後の募集については予定されていません。


  6:物価連動国債(ぶっかれんどうこくさい)

物価の動向に連動して元本が変わる国債です。すなわち、物価が上がれば、その上昇率に合わせて元金額も増加します。利率は満期まで変わりませんが、元本自体が物価に左右されることから、利息が増減することが特徴です。最低額面金額は10万円としています。年2回支払われる利子は、利払い時の想定元金額に表面利率(全利払いで同一)を乗じて算出します。


 


国債の金利・利回りについて

借りたお金にプラスして支払う金額の割合が金利ですが、利回りは投資額に対する利益の割合を平均したものです。一般的には、1年間の利回りを指す場合が多いことをまず覚えておきましょう。


国債の金利(表面利率)は、一部の国債を除いて、入札時の市場の実勢により決まり、投資家にお金が返却されるまで変わりません。


償還まで保有した場合の最終利回りは、以下の計算式で算出することができます。




償還まで保有した場合の国債の最終利回り
出典:ご存知ですか?国債 : 財務省


ただし、物価連動国債については、先述したように、物価の動向に影響を受けるため、元本が増減し、利子も増減します。


 


国債の売却・換金について

国債は、満期前でも売却し、換金できます。ただし、個人向け国債以外の場合、売却価格は市場金利の変動によって変わるため、売却時の価格によっては、売却益または売却損が発生する可能性もあります。


個人向け国債は、第2期利子支払日以降、原則として、口座を開設した取扱機関で中途換金が可能です。中途換金する際には、換金手数料などが差し引かれる場合がありますので、確認しておきましょう。また、中途換金できない期間中でも、口座名義人が亡くなった場合、あるいは、大規模な自然災害で被害を被った場合には、特例として中途換金が可能になります。


 


国債のメリットは?


安全性、少額投資が可能、利回りなど、いろいろな利点があります。各メリットについて解説します。


  メリット1:低リスク

国債は国が発行するため、国が債務不履行に陥る可能性が低く、安全性が高いことが魅力です。安全性とは、つまり元本割れリスクがあるかどうかということです。株式投資のように値動きが激しいものは元本割れリスクが高いですが、国債の場合は国が財政破綻に陥らない限り元本割れする心配はありません。また、国債の値動きの変動が小さいため、長期的に安定した投資先としておすすめです。株やFXと比較して、国債は安定していると言えます。


  メリット2:少額投資が可能

個人向け国債などのように、1万円から購入可能な国債があります。これらの少額投資が可能な国債は、リスクも比較的低く、初心者の方にもおすすめです。毎月発行されているので、地道にコツコツと積立投資ができます。購入手数料もなく、低コストなところも魅力です。ただし、投資にはリスクが伴いますので、購入前にはリスクについても調べておきましょう。


  メリット3:譲渡・相続が可能

国債は譲渡・相続が可能なこともメリットです。国債は、国が発行する債券で、国債の所有者は債権者ですから、第三者に譲渡することができます。また、国債の所有者が亡くなった場合は、その国債は相続人に引き継がれ、相続人の口座に移管できることも特徴です。ただし、個人間でのみ可能となります。


  メリット4:預金より利回りが良い

国債の利回りは、通常定期預金よりも高いため魅力的です。定期預金は預金期間が長ければ高い利回りが得られますが、金利の変動によって変化する可能性があり、国債よりも不確定要素があります。個人向け国債の金利は最低でも0.05%が保証されているため、個人は安心して購入できます。そのため、同じ額のお金を預金口座に預けるよりも、長期的に見て国債に投資することで資産形成ができるでしょう。


  メリット5:税制優遇

個人向け国債を含む国債の利子を受け取る際には、20.315%分の税金が引かれます。ただし、遺族年金を需給できる妻や、身体障害者手帳を交付されている方などは、非課税貯蓄制度の適用が受けられ、非課税になります。詳しくは、税務署などに確認しましょう。


 


国債のデメリットは?


国債を購入するにあたり、換金、途中解約、収益性についてのデメリットも考慮しておきましょう。


  デメリット1:すぐには換金できない

元本保証や安定した利回りが期待できる国債ですが、流動性が低く、すぐに換金できないことはデメリットです。市場に流通しているため、売却はできますが、取引には手数料がかかる可能性があります。また、満期までの保有が前提となっている国債の場合は、期間中に売却できない場合もあります。さらに、市場の金利環境や経済情勢によって国債の価格は変動するため、早期に売却すると、売却損が発生するケースもあります。


  デメリット2:収益性は低め

国債は元本割れのリスクが低く、また定期的な利息収入を得られるというメリットがありますが、投資信託と比較すると、それほど高い収益性が期待できません。たとえば、500万円分の国債を購入した場合、個人向け国債の保証金利である0.05%で計算すると、1年間の利息は税引き前で2,500円に過ぎず、大きなリターンは望めないと言えます。


  デメリット3:途中解約のリスク

国債を購入してから1年が経過すると、途中で解約することが可能です。ただし、この場合「中途換金調整額」という手数料がかかり、リターンが低下することになります。また、解約することで損失が発生する可能性もあります。国債を購入する場合は、自分が長期的に保有できるかどうかを事前に明確にしておくことが重要です。


 


国債を購入する流れ


最後に、国債を購入する場所、発行スケジュール、購入時に必要なものについてお伝えします。


  購入できる場所

国債は、郵便局、銀行、証券会社などのほとんどの金融機関で購入可能です。店頭で購入するだけでなく、ウェブでの申し込みもできます。ウェブで国債を購入する場合、手数料などは証券会社によって異なりますので、どの証券会社を選ぶかを確認することが必要です。証券会社を選ぶ際には、買付手数料に関する情報も確認して選ぶことをおすすめします。国債を購入する前に、発行スケジュールを確認し、口座開設に必要なものを用意しておきましょう。


  発行スケジュール

現在予定されている個人向け国債と新窓販国債の発行スケジュールは、財務省のホームページで確認できます。時期や状況によって変更されることがありますので、最新情報を確認しましょう。


ちなみに、個人向け国債の5月債は、募集期間が2023年5月11日~31日、発行日は6月15日です。


参照:


発行スケジュール : 財務省


新窓販国債発行スケジュール : 財務省


  購入の際に必要なもの

初めて国債を購入する際には、証券会社、銀行など、国債を購入予定の金融機関に国債専用の口座を開設する必要があります。


口座を開設するときは、一般的には、以下のものが必要です。


・運転免許証、健康保険証など本人確認書類


・マイナンバーカードまたはマイナンバーが確認できる書類


・印鑑


国債を購入するためには、購入資金、預金通帳、印鑑などを用意してください。また、投資目的を明確にしておきましょう。詳しくは金融機関などで確認してください。


 


まとめ

国債は、政府がインフラ整備などの費用を税収入で賄えなくなった場合に発行する債券です。国債は、個人向け国債から物価連動国債まで、多くの選択肢があります。国債は、安全性や利回りなど、メリットが多数ある反面、すぐに換金できないことや、収益性が低めなことなど、デメリットも存在します。個人向け国債は元本割れのリスクが低いため、安全に運用できることは大きな魅力です。金利が低いことはデメリットですが、堅実な投資から始めてみたいという初心者の方にとっては、比較的投資しやすい金融商品と言えるでしょう。


 


【執筆者】ニッキンONLINE編集部


 

すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連キーワード

国債

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)