【インサイト】マスターカード ヨハン・ガーバー セキュリティ&サイバーイノベーション担当EVP
2023.05.12 04:50
マスターカードは全世界で約31億枚のカードを発行している。決済サービスの対象は約150通貨、約210の国や地域に及ぶ。コロナ禍によりデジタル決済が増えるなか、サイバーセキュリティー・リスクも同時に高まる。不正利用防止の戦略をヨハン・ガーバー エグゼクティブ・バイスプレジデントに聞いた。
――最近の不正利用の特徴は。
「eコマースなどオンラインの不正利用が多く、全体の3分の2を占める。バンクカードの所でも不正が発生している。アジア太平洋地域では日本が多い」
――日本で不正利用が多い理由は。
「IDの認証機能が弱いからだと思う。今は静的なパスワードが主流だが、生体認証、行動認証、ワンタイムパスワードなどをもっと利用すべきだ」
――戦略の柱は。
「防止、識別、ID認証、顧客体験、ネットワーク保護の五つ。例を挙げれば、識別の部分では、弊社は世界中のトランザクションを常にモニタリングして不正利用を検知している。この1月から3月の間に約30億ドルの不正利用を食い止めた」
――顧客体験では。
「ある顧客が自分のカードを誰かに不正利用された場合、以前は顧客が金融機関に電話してから解決するまでに数週間かかっていたのが、今では2日で済む。金融機関側も最低限のコストで済むようにしている」
――不正利用防止に大切なことは。
「三つある。一つ目は防止、検知、識別などを多層的に織り込むこと。二つ目はイノベーション。世の中のビジネスは次から次へと進化を遂げている。少なくともそのスピードと共にセキュリティーも進歩していく必要がある。いつまでもレガシーシステムに頼っているのは危険だ」
「三つ目はグローバルな協力体制だ。犯罪組織自体もグローバルにつながっている。弊社も世界的に数多くのトレーニング・プログラムを実施し、コンファレンスも開催している。常に最新のトレンドを共有することが大切である」
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