いまさら聞けない時事用語 デジタルバンク
2023.05.14 04:30
デジタルバンクは、スマートフォン取引に特化した銀行だ。既存の銀行も多くがスマホアプリを通じて金融サービスを提供しているが、通常は新設銀行や新規参入組を指す。国内第1号は、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)傘下で2021年5月に開業した「みんなの銀行」。第2号の「UI(ユーアイ)銀行」は、東京きらぼしFGが設立して、22年1月からサービス提供を始めた。
この2行は、いずれも地域銀行が中核の金融グループが新設した。低収益環境の下で有人店舗を削減し経費節減を急ぐ地域銀は、金融取引のデジタルシフトを進めている。今後の注目はデジタルバンク設立の動きが続くかどうか。現時点では、銀行取引のオンラインサービスである「インターネットバンキング(IB)」を磨き込む方向に力を入れる地域銀が多い。
ちなみに、デジタルバンクには「チャレンジャーバンク」と「ネオバンク」という二つの形態がある。前者は、自ら銀行免許を取得して金融サービスを提供する形態であり、みんなの銀行やUI銀行がこれに当たる。後者は、銀行免許を持たずに「BaaS(サービスとしての銀行)」によって金融サービスを提供する形態を指す。
BaaSは、IT業界の「SaaS(サービスとしてのソフトウェア)」のように、クラウドサービスとして顧客に銀行機能を提供する。金融以外の事業を営む企業が、API(データ連携の接続仕様)を通じて銀行の金融機能を借り受けるイメージだ。顧客は非金融系企業のサービスとして金融取引を行うが、その裏側では提携先の銀行が実際の処理を行う。銀行にとっては、従来とは異なる顧客層と接点を増やし、手数料収入を底上げできる利点がある。
ひと昔前は、異業種からの銀行参入が相次ぎ、伝統的な銀行が競争激化を危惧するという構図が顕著だった。だが、今後は銀行と異業種がBaaSで手を組み、パートナー関係を築く構図が主流になっていく可能性がある。
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