第4回(最終回) 聞き上手な人とは、○○が上手い人

公開日

2025/07/28

今や金融機関を取り巻く環境は大きく変化し、その役割は、資金の仲介や融資にとどまらず、地域の課題解決や中小企業の成長支援、さらには個人顧客の人生設計にまで広がっている。こうした変化の中で、「お客さまと関係を構築したいが、どうすればいいのか分からない」「取引先と距離を縮める会話の糸口が見つからない」といったコミュニケーションに関する悩みの声は少なくない。


シリーズ「顧客と信頼関係を築く対話の技術~今日から使える4つのエッセンス~」では、そんなお悩みの声に対し、エグゼクティブ・コーチングの国内リーディングカンパニーであるコーチ・エィ会長の鈴木義幸氏が、相手と信頼関係を築くコミュニケーションの4つのエッセンスを伝授する。
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最終回となる第4回では、相づちが及ぼす相手との対話への影響について解説してもらった。


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相づちは、信頼のメッセージ
「相づちは本当に大事なんです」と力強く語る鈴木会長。多くの人は、「相づち」の本当の意味を見落としているという。


「人は話すときに、どこかで不安を感じています。『聞いてもらえているのか』『話し続けていいのか』という不安ですね。その不安を取り除くのが、良い相づちなのです」


相づちは「話して大丈夫ですよ」「あなたの話に興味がありますよ」という目には見えないメッセージであり、それは相手に対する信頼をも表すのだ。


「だから聞き上手な人というのは、相づちが上手いんですね」


良い相づちの要素
良い相づちは、話し手に安心感を与えるだけでなく、対話のリズムを作るものでもある。鈴木会長は、それを「楽器演奏の合いの手」に例えて説明する。


「相づちにはリズム感が必要です。相手の言葉に被らず、絶妙な間で入れることが大切。そして語尾は必ず上げる。語尾が下がると、相手は一気に話したくなります」


相づちだけで人は話し続ける
カウンセリングのトレーニングの一種に、「相づちだけで相手に話し続けてもらう」訓練もあるという。


「良い相づちを打つだけで、相手は10分でも15分でも話し続けます。逆に、変な相づちを打つと話が止まってしまう。声、トーン、タイミング、表情──すべてが重要です」


それゆえ、相づちは「どれだけ強調しても足りないくらい大切なスキル」だと強調する鈴木会長。話し手との関係を築き、信頼を得るために不可欠な技術なのだ。


モデルを真似るところから始めよう
では、どうすれば良い相づちができるようになるのか。鈴木会長曰く、まずは「自分の相づちを知ること」が第一歩だという。


「自分の相づちは無意識のうちに出ています。だからこそ、自分が誰かと話してるところを録音や録画をして『自分はこういう相づちを打っているんだ』と把握するのがいいと思います」


そこから上手な相づちのモデルを見つけて、自分とのギャップを認識することで、相づちがブラッシュアップすることが期待できるのだ。
モデル探しには、ポッドキャストでリスナーの多い対談番組などが参考になるそうだ。
さらに鈴木会長は、特に営業職の人は、「時間をかけて相づちを磨くべき」と熱弁。相づちの重要性を知るコミュニケーションのプロならではのアドバイスだ。


自由に話す、という欲求
話し手が「自由に話せる」と感じたとき、対話は別の次元へと変わる。それは、ある種の瞑想体験のようなものでもあるという。


「本当に気の置けない友人と話すとき、言葉を超えたつながりを感じることがあるでしょう? 実はああいう体験を、誰しもコミュニケーションの中で求めているんです」


しかし、現実には制限が多い。会社の中、社会の中では「言っていいこと」と「言ってはいけないこと」が厳然とある。
その中で「自由に話したい」という欲求を実現できる瞬間は貴重だ。


「もし、仕事の場で『この人なら自由に話せるかもしれない』と思える相手に出会えたら、人はその相手に信頼を寄せ、仕事を任せたくなるでしょうね」


心をひらく言葉の裏には、かならず“聞く姿勢”がある。相づちは、その最初の扉なのだ。


※詳しい内容は動画にて解説しています。


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本シリーズに続き、
新シリーズ「内省力 -自分に問うリーダーが組織を動かす-」が8/4(月)スタートします!お楽しみに