藤村 博之 労働政策研究・研修機構 理事長【顔】

2025.08.31 19:50

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厚生労働省所管の独立行政法人として、主に労働政策に関する研究と研修の役割を担い、政策立案のベースとなる実態調査や労働行政を担う職員の研修などを引き受けている。


国内労働環境の変化については、「働き方の多様化が大きく進展するなかで、『新しい働き方』と『以前の働き方への回帰』という組み合わせの最適解を模索している状況にある」と指摘する。


長く働き続けるためには、健康のほかに「能力」が必要であり、「日々の仕事を通じて各年代で求められる能力を磨き続けることで、企業にとって魅力的な人材になっていく」と説く。


就職氷河期世代おける非正規雇用問題については、「正社員への移行が進んでいるとはいえ、経験や能力の蓄積不足によって待遇が悪かったり、継続的な労働が困難な場合もある」と、より丁寧なサポートが必要な考えを示す。地域金融機関に対しては、「域内で循環するような人材紹介機能や、地域の事業全体をつないでいくような役割を果たしてほしい」と期待。(聞き手=本誌編集長 松井 秀観)


 



 


“氷河期”世代に丁寧な支援を


──活動の概要と力を入れている取り組みは。


当機構は、厚生労働省所管の独立行政法人として、主に労働政策に関する研究と研修を行っている。研究では、政策立案のベースとなる実態調査などを引き受けている。


研修では、全国のハローワークや労働基準監督署の職員に向けた研修を展開。知識面を学ぶオンライン研修と、窓口対応力を高める集合研修を組み合わせて実施することで、職員のスキルを安定して高いレベルに保てるよう努めている。

2025年度は、3つの取り組みに力を入れている。1つ目は、様々なキーワードの正確な実態把握だ。例えば「年功序列」は、同期入社組が同じタイミングで出世していくようなイメージで使われることが多いが、実際はどこの会社も人によって昇進・昇格のスピードは異なる。現状を正しく認識するために、実態をしっかり調べ、客観的なデータに基づいて発信することは非常に大事なことだと考えている。

2つ目は、国際的な情報発信だ。日本の労働環境について系統的に海外発信できる立場にあるのは当機構しかないため、調査によって明らかになった日本の実態を海外の労働関係の研究者に向けて、英語で発信し続けていく。


3つ目は研修の強化で、当機構研究員の研究を実際の労働行政に生かすことに力を入れている。失業者の研究を例に挙げる...

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