三井住友銀行 福留頭取「Trunkは『Olive』開発、向上の経験生かす! 47都道府県で1万件の申し込み」
2025.10.03 02:30
中小企業の“人手不足”深刻化 テクノロジーで決済効率化支援
──中小企業を取り巻く現在の経営環境や課題をどのように捉えていますか。
中小企業では、人口減少に伴う事業承継や競争激化は常態化しているが、特に直近では人手不足が深刻化していると思う。1~2年前までは働き手の不足は建設や介護、運輸などの一部業種で顕著だったが、その後、崖から転がり落ちるように深刻度が増したように感じる。
今は全ての業種に及ぶのではないかというくらいに、人手不足が喫緊の課題になっているのではないか。
──メガバンクは中小企業取引について、これまでどちらかと言うと手薄な印象でしたが、2025年5月からTrunkを開始した狙いを教えて下さい。
日本には中小企業、零細企業が300万社以上あるが(令和3年経済センサス調べ)、我々は支店数が少なく、地方の隅々まで人手をかけてカバーすることは物理的に出来ない。地域には地方銀行や信用金庫、信用組合もたくさんあり、メガバンクは中堅企業や大企業を相手にすることがどうしても中心になる。
一方で、人手不足が深刻化するなかで中小・零細企業では銀行取引など決済業務への負担感が高まっているのも確かだ。経営者自らが書類作成や支払いなどに追われているケースもあると聞く。
ただ、近年のテクノロジーの進展で、そのような煩雑な事務作業は大分効率化できるようになってきた。Trunkというソリューションの提供を始めたのも、デジタル化を通じて中小企業の決済やお金まわりの効率化を支援し、経営者らが抱える課題を解決したいとの狙いがある(画像)。
もちろん、「金利ある世界」に移行し、中小企業の決済業務を幅広く取り込めれば、収益性を見込めるようになるという判断も当然ある。ここ数年は中小企業やスタートアップ企業の新規口座を増やしているのはインターネット専業銀行、法人カード取引を増やしたのは新興系のカード会社だろう。
我々のところには来てくれなかったが、そもそも積極的に取り組んでもいなかった。今回はその姿勢を変化させたということだ。
──新たに開始したTrunkの“強み”としては、どのような点が挙げられますか。
個人向け総合金融サービス「Olive」の経験を生かせる点は強みになると思う。Oliveは2023年3月から提供を始めており、アカウント数が600万を突破した。
三井住友銀行と三井住友カードが...
この記事は会員限定です。
ログインまたはお申し込みください。