谷本 慎二 アルバトロス代表取締役【顔】
2025.07.31 19:50
退職代行サービス「退職代行モームリ」を提供。利用者の8割が20~30代だが、50~60代の依頼も毎日受け付けている。退職の主な理由はハラスメント関係で、「有給休暇が使えない」「サービス残業がある」など労務関係の理由も多いと言う。
退職に至る背景には、就職した企業に対する従業員側の理解不足と、契約内容が入社したら異なっていたという企業側に非がある場合があり、「入社前に期待を持たせ過ぎないことが重要」と話す。
若い世代の働き方については、「自宅であらゆることが出来る時代になり、給与以外の待遇を重視する若者が増えた」。ベテラン社員が自分たちの価値観を若手社員に押し付けることも、ミスマッチにつながると説く。「退職=逃げ」と捉えられがちな日本の風潮に一石を投じるために起業した。
2025年からは、これまでに蓄積した累計4万件超の退職に関するデータを元に、離職率低下を目指すデータ開示型コンサルティング業務「モームリプラス」を開始した。人材流出に悩む金融機関に対しては、「データや知見を生かして採用戦略やより良い体制作りを手伝えたら嬉しい」と。(聞き手=本誌編集長 松井 秀観)
期待値を“上げ過ぎない”
──「退職代行モームリ」を提供しているが、利用状況とその背景は。
退職代行サービスに対するニーズは急増しているが、退職者全体に占める利用割合は1%未満にとどまっている。利用者の8割が20~30代だが、15~83歳の幅広い年齢で利用され、50~60代の依頼も毎日受けている。
利用者の在職期間は、半年未満が6割と最も多い。入社直後は誰に伝えて良いか分からなかったり、「辞めさせてもらえないんじゃないか」という不安から、退職代行を利用するケースがほとんどだ。退職の主な理由はハラスメント関係で、「有給休暇が使えない」「サービス残業がある」など労務関係の理由も多い。
──企業と従業員の間に退職に至るような関係が生じる理由は。
入社前後の“ギャップ”が最も大きい。ギャップは大きく分けると2つある。1つは就職した企業に対する従業員側の理解不足によるもの。もう1つは、企業が入社前に示していた契約内容や企業情報が入社したら異なっていたといった、企業側に非がある場合だ。
前者では、例えば「みなし残業」という給与制度を知らずに就職し、「思ったより残業が多かったから退職した」というケースや、「土日休みが...
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