【理事長プレゼンシリーズ】蒲郡信用金庫 キャリアプラン提示で男女ともに昇進意欲向上狙う

公開日

2025/01/21


2024年8月に、信用金庫を対象とした次期リーダー候補をサポートする「わたしと組織のマインド改革プロジェクト」を始動。全国の信用金庫から選ばれた女性職員7人が、男女の職務分担へのバイアスや仕事と子育ての両立など女性活躍推進に関する現状の課題を洗い出し、解決に向けてそれぞれが動き出した。11月にはそれぞれの信用金庫で抱える課題とその解決策をまとめ理事長に提言した。


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プレミアム記事では、7人の女性職員が理事長に提案したもようを紹介する。今回は蒲郡信用金庫の人事部主任調査役の嶋田琴美さんが、“人間力”を発揮して心に訴えかけるプレゼンで岡本聡哉理事長に提言。

提言内容の一部始終は、プレミアム動画に掲載。




理想は「断トツ!!」に信頼される地域の伴走支援者

11月15日、岡本聡哉理事長を前に「貴重なお時間をありがとうございました」と穏やかなテンポで話し始めた。まず、嶋田さんの理想の金庫像を紹介。「職員が明るく主体的に働ける金庫であること。みんなが幸せで楽しい、そしていろんなことにチャレンジしたいと感じられる組織でありたい」としたうえで、実現するために目指す姿を掲げた。まずは、“断トツ!!に信頼される地域の伴走支援者「がましん」の確立”、そして“女性オフィス次長の全店配備かつ女性支店長・部長の排出”だ。「岡本理事長は就任当初から“人で勝負する”と明言されています。人事部の私はアナログでの人づくりを徹底していきたい」と自身の強い意思表示のもと「お客さまと同じく、職員にも伴走支援が必要」と訴えた。




新たな働き方に応える

続いて理想の実現に対し、現状の問題点を説明した。地域の伴走支援では、人手不足や経験不足、若手職員の育成ができていないなどを掲げた。「近年の退職者増加による人手不足や業務の多種多様化により、特に管理職や若手職員から負担が増えているという声が上がっている」とした。また、現状の問題点を阻害する要因として7つを掲げ、そのうち①アナログでの時間が取れない②若手職員が多く知識が乏しい③管理職・中堅職員の負担増④育成に時間が取れないーの4つが特に問題があると。「人で勝負したいと考えるなか、職員の育成、そして成長なくしては金庫の発展はありません!」と語調を強めた。

一方、女性オフィス次長の全店配備の現状は、適材適所ではない、キャリアプランがない、ロールモデル不在などの課題を挙げ「女性職員のなかには、男性と同じように営業をしたいという方と、内部事務のスペシャリストをめざす方がいます」とし、「これらの希望に応えるには、総合職のなかにも内部管理の専門コースのような新たな働き方が必要」と説明した。これらの現状を作り出している問題として家庭と仕事の両立に不安や「私には無理!」という認知バイアスなど7つの問題を掲げた。「認知バイアスがあると環境整備してもなかなか前に進めない」と。




キャリアプランの作成で目標を明確化

2つの目指すべき姿の解決策に①業務のDX化推進および店舗の在り方、選別の見直し②心理的安全性の確保、プロセス評価③総合職・女性役席になりたいと思える仕組みや経験を与えるーなど7つを掲げ、それぞれについて、解決に至る理由を説明。

続いて「このような方策の中から、岡本理事長に具体的な行動案として提案があります」とし、男女ともにキャリアプランの作成プロジェクトチームの立ち上げを提案した。自身については、「私自身がロールモデルとなれるように尽力し、ポジティブな存在でありたい。小さな力かもしれませんが、同調してくれる職員を巻き込み“必ず変わる”と信じ今後も岡本理事長に耳打ちをしていきたい」と締めくくった。



◇提案後のインタビュー骨子


ーーこれまでの女性活躍推進をどう評価しているか

岡本理事長:竹田会長が理事長であった2016年から女性の力をどんどん活用していくために環境を整えてきました。再雇用制度も作りました。これは出産や育児をする期間に、仕事ができない状況に陥りその時点で退職したとしても、数年後に前の資格とほぼ同じような状況からもう1度戻ってきてもらえる制度です。女性職員比率は現在46.1%ですが、私の想像ではこれから限りなく50%に近づくはずです。となると、女性男性という区切りはいらないのかなと考えます。ただ、嶋田さんのプレゼンを聞いて、家庭と仕事の両立の不安はどうしても女性が抱える部分があるため、そういった部分にはしっかりと対処するような仕組みを考えることも必要であると改めて思いました。





ーー提案を受けた感想は

岡本理事長:やはり女性ならではの観点だと感じました。これからは多様化が進んで男性も女性もあってはいけないダイバーシティの時代です。今回の提案は、そうは言いつつも女性活躍を推進しなくてはいけない問題提起として聞いていました。それをやるために何が問題なのかを自分の経験や女性の立場をふまえて明確に提案をしてくれたことで、自分の中で初めて認識したこともあり非常に有意義でした。特に男性女性どちらにもキャリアプランを提示する施策は積極的に進めていきたいと考えます。今日は問題提起という部分を明確に話してくれたことが良かったと思います。


ーー「女性活躍推進」を望んでいない職員はいますか

嶋田さん:昇進はあまりしたくないと言う方が多いですね。与えられた仕事はきちっとやるけども、それ以上の責任を負うのは嫌だということを言う職員はたくさんいます。やはり現実的なことを言ってしまうと、結婚している職員に関しては自分が働いてなくても家庭は成り立つし、子供も育つというところはあります。夫婦2人で働いていても奥様ががむしゃらに働くという感覚を持つ人は少ないですね。

岡本理事長:昔は総合職に就く女性はほとんどいませんでした。大体が一般職で入ってるため、ある程度勤続年数を積むなかで嶋田さんのようにトライしようと思って役席にチャレンジする職員もいれば、そうではない職員もいます。ですがさっきお話ししたように2016年以降、環境を変えてきているので、20代から30代ぐらいの女性、もしくは40代近くでもはっきりと昇格意欲ある職員も出てきていますね。


ーー嶋田さんが信金職員として働く間に叶えたい目標などは

嶋田さん:私は現在人事部の主任調査役という立場で仕事をさせていただいていますが、やっぱりこれ以上にステップアップできれば、と考えています。自分の得意なことを活かして仕事をしたいと思うので、人事部の部長になれたらいいなとは思います。人に関わって仕事していき、頼られる立場で職員みんなのお役に立てるような働き方をしたいなと思ってるので、少し偉そうなことを言いますが“人事部長になることが目標です”。と少し照れたような笑顔で答えた。



 


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