創業保証 新設企業とリスクマネー増加続く! 信金が件数・金額でシェア6割超
2025.09.26 19:50
コロナ禍で一時は下火になったものの、政府のスタートアップ支援もあり、「起業ブーム」が続いている。東京商工リサーチによると、2024年の「新設法人」数は 15万3,938社で、最多件数を2年連続で更新した。
AIやDXの進化、従業員を雇わず社長が1人で経営する“一人会社”の増加、自治体支援の充実など様々な要因が考えられるが、金融機関のサポートもその1つだろう。全国に51ある信用保証協会の「創業保証」の件数と実績からその推移を追った。
『ニッキンレポート』では、全国51の信用保証協会の保証実績を合算し、各金融機関ごとに実績を掲載している。そこから2019~2024年度の「創業保証」の件数と金額を抽出した上で、業態ごとに件数を集計した(図表)。
2020年度はコロナ禍の影響で創業保証の件数が落ち込んだが、2021年度にはコロナ禍前まで回復し、それからは順調に右肩上がりを続けている。特に増加が顕著なのが信用金庫だ。2024年度は全体の62.88%を占めており、金額ベースでも60.39%だった。
全体の「保証承諾」における信用金庫の割合は件数51.54%、金額45.58%であるため、創業保証に積極的であることが分かる。
一方で、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行は2024年度に前期中から減少に転じている。ただ、この減少は銀行の保証離れが原因かもしれない。「金利ある世界」への移行で貸出金利ざやが増加し、保証料を支払わずにプロパー融資にシフトする動きが強まっているためだ。
データで見ても、地方銀行の2024年度保証承諾件数は15万7,629件で前期比1万4,645件の減少となっているが、創業保証は7,759件で同27件減の微減にとどまっている。創業支援への意識は決して薄れてはいない。
それを裏付けるように、日本政策金融公庫の2024年度創業融資実績は2万8,032先1,503億円で、全年代、業種で前年度実績を上回っている。起業ブームの高まりは、金融機関にとっても法人融資など新たな取引のきっかけになる好材料だ。
しかし、起業はスタートでしかなく、その後の事業存続が何より大切になる。“リスクマネー”のさらなる供給とともに、信用金庫や地方銀行にはアフターフォローの面でも期待が寄せられている。(ニッキン データ商品開発部)
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