コンサルティングで新たな価値提供  製造業とスタートアップのマッチングに注力

2025.03.31 19:50

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2025年10月に創立75周年を迎える碧海信用金庫。創立80周年を迎える2030年度の目指す姿を新長期ビジョン「ビジョン2030」として策定した。主要地盤の西三河地域は長きにわたり自動車産業とともに成長をしてきたが、自動車産業は100年に一度の変革期にあり、産業構造の変化にさらされている中小企業も多い。「ビジョン2030」では、取引先の期待を超える価値提供を目指し、幅広い課題解決型金融に取り組み、地域やお客さまとともに成長することを主眼としている。総合的かつ高度なコンサルティング営業を重視する深谷誠理事長に経営戦略を聞いた。(聞き手=本誌編集長 松井 秀観)


 



 


自動車産業は100年に一度の大変革期


松井 愛知県三河経済の概況は。

深谷
 この地域は自動車産業を中心に発展してきた。当金庫も自動車産業の成長とともに発展をしてきたと言っても過言ではない。自動車産業に関わるサプライヤーは裾野が広く、事業性融資のほか、住宅ローンなどの需要も旺盛にあり、積極的にサポートをしてきた。ただ、自動車産業は100年に一度の変革期にあり産業構造も変化の波にさらされている。単にEV化だけの話ではなく、将来的には生産拠点が西三河から徐々に変化をしていく動きもある。

将来を見据え成長する企業とそうでない企業の二極化の傾向が出てくるのではないか。足元では需要は堅調であるものの、将来を見据えると、生産性の向上や、新しい付加価値を生む取り組みに注力していかなくてはならない環境にあることも事実だ。また、当金庫としても将来に成長するための中小企業支援に今まで以上に積極的に取り組む必要がある。


松井 2024年度決算の見通しは。

深谷
 政策金利の引き上げに伴い、先行して預金金利負担が増加したことや、人件費も前年度に比べ大幅に増加させたことからコア業務純益ベースでは減益となるが、与信費用等が抑制されたことなどから最終利益は前年度以上を計上できる見込みだ。


 



 


“理念経営”を体現する「ビジョン2030」


松井 中期経営計画と進捗について。

深谷
 2030年度に向けた長期ビジョンとして「ビジョン2030」を策定、それまでの6年間の前半3年間は第11次中期経営計画として強固な基盤を作る期間としている。2024年度は第11次中期経営計画の初年度として、いろいろな態勢作りを進め、人事評価におけるステップアップ制度の導入や、強固な営業体制を作るための「エリア営業体制」の導入、BOC(バックオフィスセンター)の運用などに取り組んだ。

また、「金利ある世界」へ移行する中で粘着性の高い預金基盤の構築や事業性融資、法人ソリューション営業にも取り組んでいる。時代の流れを敏感にとらえ、取引先の生産性向上や付加価値向上に向けて活動を強化していく。環境変化に対して行動を変える必要があり、職員の意識も徐々に高まってきていると感じている。

松井
 80周年に向けたビジョンは。


深谷
 80周年までの6年間は当金庫にとって大事な6年間であり、何を目指し、何をすべきか大きい機軸を定めたのが「ビジョン2030」だ。現在、地域社会や中小企業を巡る環境は大きく変化しつつある。これまで育てて頂いた感謝の気持ちを忘れずに、当金庫もお客さまとともに未来を作っていく気持ちを込めて「ビジョン2030」を策定した。その中心は職員だ。職員にはお客さまの期待を超える満足を与えられるように「挑戦と成長」を求めている。また経営としても働きやすい職場環境づくりに取り組み、持続可能性の高い経営体質にしていく方針だ。


松井
 「すまいるプロデュース」を根幹に据えた理由は。


深谷
 お客さまの笑顔というのは、会社であれば事業がうまくいくことであり、個人のお客さまで言えば生活設計がうまくいき幸福感を感じることだと考える。私たちにとってお客さまに「ありがとう」と言って頂くことがゴールだ。そうした思いを込めて「すまいるプロデュース」をビジョンとして位置付けた。


松井
 預金・貸出金戦略について。


深谷
 預金も貸出金も、地域貢献に資するもので量的確保を図ることを基本方針としている。預金であれば一昨年苦労をした個人預金も一定額伸ばすことができた。また融資も従来は住宅ローンが下支えをしてきたが、昨年は事業性融資の伸びが上回った。徐々にではあるが、地域に根差した営業活動が浸透してきていることを感じている。

預金だけを単独商品として提案するのではなく、例えばお客さまの特性にあわせて預かり資産なども提案できるように商品ラインアップの充実と教育に努めている。預金金利についても特定の大口預金に高金利をつけるのではなく、広くお客さまに対して魅力的な金利商品を提供していく方針としている。貸出金については全国屈指の低金利競争地域であるが、課題解決型金融を前面に出しサービスの質を高めること...

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