企業倫理の「再定義」
2025.09.26 19:50
企業による組織的な不正行為の例は枚挙にいとまがなく、法令遵守が叫ばれ、法令による規制強化が繰り返されているが、残念ながらその効果は十分ではなく、不正行為はとどまることを知らない。規制強化を更に徹底させれば、企業活動の自由を制限する危険もある。
では、不正を防ぐためにはどうすれば良いのだろうか。1つ言えることは、法令による規制は外面的・他律的・受動的な規制であるが、それのみでは十分ではなく、内面的・自律的・主体的な規制も必要であるということである。すなわち法令ではなく、倫理による規制が重要であり、企業は単なる法令遵守のみならず、自ら主体的に選択した倫理基準に基づいて事業を行うことが求められている。
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筆者は、経営倫理のなかでも特に京セラ創業者の故稲盛和夫氏の経営哲学の研究を行ってきた。稲盛氏の経営哲学の根幹には、「利他の心」による経営という理念があり、彼の経営実践は、正に利他を...
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