共創社会のハブとして社会課題解決に全力  地域・顧客と共に生きる

2025.04.30 19:50

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地域金融機関の存在価値を、「共創社会のハブ」と位置づける埼玉りそな銀行。圧倒的シェアを誇る地元埼玉県で、産業振興、教育、貧困、雇用から空き家問題まで、様々な社会課題解決を通じて、法個人、地元自治体など、地域とのリレーションシップの強化を進めている。「地域の発展、お客さまの成長なくして我々は生存できない。銀行の枠を超え、お客さまの経済価値、埼玉県の社会価値を引き上げることに貢献するのが地域金融機関」と語る、福岡聡社長に今後の展望を聞いた。 (聞き手=本誌編集長 松井 秀観)


 



 


価値の良い流れを創り出す


松井 埼玉県経済の概況は。

福岡
 人口は2020年まで前年比で増加していたが、2021年からは減少に転じた。高齢化も急速に進み始めている。主要産業は自動車、農業・食品、化粧品をはじめとする化学工業だが、為替やCO2削減、TCFDなどの環境問題で、自動車産業は構造転換を迫られている。一方で農と食は、大量消費地の東京の隣で、交通の便が良く、日照時間も長く、災害も少ないという地の利から、大きなポテンシャルがある。しかし、ここにも少子高齢化問題が及んでいて、農業形態も個人農家が減り荒廃地が増えつつある。グローバルなサプライチェーンや気候変動リスクのなかで、産業構造の変革が求められている。

短期的変化では原材料価格の高騰があり、これが人件費や商品の高騰に直結し利益を圧迫している。そのため、事業承継を積極的に提案していかないと、再成長を諦めて「廃業」に向かう経営者も多い。

松井
 2024年9月期決算について。


福岡
 2024年度は3年間の中期経営計画の折り返しだった。そのなかで、増収増益を続け、計画も大きく上回っており期待水準以上のパフォーマンスだと思う。


松井
 好調の理由は。


福岡
 まず金利上昇の影響。ただ、2020年頃から、いつかコロナが収束して、少子高齢化とか構造上の変化が必ず起きると考え、先手を打ってきたことが奏功している。例えば、コロナをきっかけとした経営改善支援は2020年8月からスタートした。ゼロゼロ融資は、企業のバランスシートを変えることになると思っていた。もし、状況が変わった時に、キャッシュフローとか事業成長がなければ行き詰まる。バランスシートが変わる前提のゼロゼロ融資なので、当時から専門チームを作って、バランスシート改革とか、次の再成長の種を創るとか、経営改善支援をやってきた。

支援先は1,200件を超え、与信費用は低く抑えられている。しかし、経営計画自体は少し古い数字なので、利上げは想定したが、現実的にどれくらい織り込むかという点では、当初計画とずれがあった。計画目標との比較では結果は良かった。ただ、「世の中の期待値対比」で見たら満足はしていない。


松井
 中計目標の当期純利益255億円は達成済み。もう一段上にいけそうか。


福岡
 そこを目指して、変化に適合していくことに意味がある。それに「何か意味を生み出すだろう」という確信もある。だが、世の中がこれだけ変わり、地域社会やお客さまの期待値も変わっている。1年半前に作った経営計画に固執していると、そうした期待から外れる。だから、計画とか、数字の良し悪しだけで評価はしない。「お客さまの期待に応える努力が出来たか」「意味のある活動ができたか」を問う。たぶん「満足」することは無いだろう。何故なら「基準値」は変わるから。「必要条件を満たす」のではなく「十分条件を満たす」ことを目指すので、いつも「まだまだだな」となる。


 



 


共創社会のハブ目指して

松井
 社会課題の解決で目指すのは。


福岡
 我々の目的はお客さまと埼玉県の共なる発展であり、その結果が数字に表れるだけだ。決して、手数料の増強が目的ではない。ただ、一定の収益を上げないと、次の成長のための体力作りができないので、事業活動として計数計画は作る。成績は「未来をみた成績表」で捉える。だから、未来の「健全性」とか「持続可能性」「成長可能性」のために、これぐらいの結果は残したい──と逆算して考えている。

でも、それ自体が目的ではなく、今中計も、この時代に「価値の良い流れを創り出す」ことと、そのための共創社会という目的が根底にある。みんなで価値を作っていく時代のハブになって、お客さまの経済価値、埼玉という社会の価値を引き上げるのが地域金融の仕事だ。

松井
 埼玉りそな銀行を通じて価値が上乗せされ、それがまた循環して、さらなる価値が生まれるイメージか。


福岡
 地域の発展、お客さまの成長がなければ我々は生存できない。だから我々の生存領域を守る、強くする、発展させることなくして、我々は存在できない。埼玉県経済、お客さまの経済を、道徳的に発展させるのが、渋沢翁に頂いた「道徳経済合一」の精神であり、これを守っていく。


我々は、りそなショックの失敗から様々なことを学んでい...

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