ウェルビーイングな社会実現へ  顧客や地域の課題と向き合う

2025.05.31 19:50

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香川県に地盤を置き、11都府県の広域店舗網を築く百十四銀行。長期的に目指す姿を示した「長期ビジョン2030」では「総合コンサルティング・グループの進化」を掲げ、多様化・複雑化している顧客や地域の課題解決に真正面から向き合う。2023年度から取り組む中期経営計画「創ろうイ・イ・ヨ♪」はその一環で、ウェルビーイング(心身の健康と幸福)な社会の実現に向けて変革に挑む森匡史頭取に狙いや経営戦略を聞いた。


(聞き手=本誌編集長 松井 秀観)


 



 


魅力度が高まる香川県

松井
 香川県経済の概況は。


森 
コロナ禍から緩やかに回復しており、積極的な設備投資の動きが見られるなど元の状態に戻りつつある。例えば、JR高松駅や高松港がある「サンポート高松」エリアでは新しい駅ビルが2024年に開業し、2025年には中四国最大級の香川県立アリーナ(あなぶきアリーナ香川)の開館や大学の新キャンパスが誕生するなど、新たなにぎわいを生みつつある。また、2027年夏には「マンダリンオリエンタル瀬戸内」も開業予定となっており、地域の魅力度がさらに高まると同時に、香川経済全体にとっても良い影響が期待できる。他の地域でも生成AI関連のデータセンターが進出するなど、大きな投資が活発化しつつある状況だ。


松井
 四国新幹線の機運については。


 誘致に向けて色々な活動が展開されており、機運が高まっているのは確かだ。まだ先の話かもしれないが、地元経済界にとっても実現すれば明るい話だと思う。特に香川県は国際線旅客数で中四国トップの高松空港が立地しており、新幹線があれば観光客が四国内を回遊する拠点となる可能性も考えられる。現在すでにインバウンドの増加で香川県内での宿泊が難しくなっている日もあり、観光の面だけでもそういった課題やニーズに沿った動きが出てくるだろう。



胸熱くする「応援の力」

松井
 2024年4月の頭取就任後に打ち出したスローガン「応援の力」に込めた狙いは。


 地域やお客さまをしっかりと応援するとともに、当行を応援して頂けるファンを増やしていきたいという思いを込めた。スポーツでは見ず知らずの多くの人が一丸となって応援に熱を入れ、背中を押された選手たちが実力以上の力を発揮して活躍するシーンがよく見られる。時には叱咤激励を受けながらも、胸が熱くなるような応援で地域やお客さまを支えていくことこそが、地域銀行の使命ではないかと考えている。

頭取に就任してからは本当にあっという間の1年で、当初は責任の重さや環境の変化に対応していくことへのプレッシャーが大きかった。とはいえ一人で全部はできないことから、時には割り切って地域やお客さまのためにという一心で走り続けてきた。就任1年を機に一度立ち止まり、これまでに取り組んできたことを少し整理していきたい。

松井
 2025年度が最終年度となる現中計の進捗については。


 連結当期純利益135億円以上など、2024年11月に上方修正した経営目標は確実に超えていかなければならない。これまではマイナス金利下で手数料収入を増やしてきたが、金利ある世界に戻るなかで本業の預貸業務にも力を入れていく。変化が激しい時代ゆえに与信費用は増えるかもしれないが、資金ニーズがあるお客さまにはリスクを取りながら応えていきたい。なかでも地域の活性化や雇用創出、サステナブル(持続可能)につながるものに対しては、地域銀行として取り組む義務があると考えており、将来的なウィンウィンの効果も期待している。


松井
 2028年度には創業150周年を迎える。


 まさに今、若手をはじめとする幅広い行員が150周年のプロジェクトでどういったことに取り組むかを考え始めている。ポイントは2つあり、1つは地域やお客さまに対してどのように感謝の思いを伝えていくかということ、もう1つは150周年を超えて200周年、250周年を迎えていくために何が出来るのかということ。すでにビジネスに関するものから行内制度に関わるアイデアまで様々な提案が出てきており、頼もしい限りだ。


 



地域や顧客はもちろん、卓球部の試合でも「応援の力」を体現する(2024年5月1日、高松市内)


 


進化を続けるコンサル


松井 現中計で重点戦略のコンサルティングの取り組みは。


森 お客さまの課題に寄り添うためのベストな方法は何なのかということを考え、支援メニューを着実に拡充してきた。2022年にコンサルティング部を新設したほか、2024年にはソリューションファイナンス部も立ち上げ、様々な課題に対応可能な体制を整備している。もちろん順調に数字につながっているものがある一方、もう少し長期的な視点で見ていく必要があるものもある。


これから地域の人口減少が進むなか、事業承継や人手不足への支援は1つの鍵になってくるだろう。働き手がいなければ事業が成り立...

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