スペースワン 豊田 正和 社長【顔】 

2025.04.30 19:50

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2023年の世界全体のロケットの打ち上げ成功回数は過去最高の212回を記録したが、日本は2回にとどまる。宇宙ビジネスで日本のシェアを高めるために、「衛星をまず宇宙に運ぶことがインフラとして必須。ロケットの打ち上げ回数を増やして『輸送』能力を向上させることが、日本の喫緊の課題」と指摘する。


これまで官主導で進められてきた日本の宇宙開発だが、今後は「民間企業の力でシェアを高める必要がある。ロケットの実用化を実現することで、民主導への起爆剤の役割を果たしたい」考えだ。


同社が開発する衛星打ち上げ用ロケット「カイロス」については、「過去2回は残念ながらミッション未達成だが、着実に前進しており、可能な限り早く再チャレンジし、成功させたい」。国内において、2020年代の終わりに年20機、2030年代の初めには年30機打ち上げる目標を掲げている。

資金調達では、民間金融機関から資金を安定的に調達するためにも、宇宙輸送サービスにおける「政府調達」の定着を求める。また、「事業を生み出すためのリスクマネーの供給」にも期待。
(聞き手=本誌編集長 松井 秀観)



 


「輸送」能力の向上が必須


──民間ロケットが果たす役割は。


宇宙産業における世界の市場規模は約40兆円で、日本のシェアは約5%。これまで官主導で進められてきた日本の宇宙開発だが、今後は当社を含む民間企業の力でシェアを高める必要がある。官主導から民主導への転換が求められるなか、民間ロケットの実用化を実現することで起爆剤の役割を果たしていきたい。

2023年の世界全体のロケットの打ち上げ成功回数は過去最高の212回を記録した。米国は半数以上を占め109回(スペースX社が96回)、中国67回、ロシア19回と続き、日本は2回にとどまる。


宇宙ビジネスを進めるためには衛星をまず宇宙に運ぶ輸送インフラとしてのロケットが必須であり、ロケットの打ち上げ回数を増やして「輸送」能力を向上させることが、日本の喫緊の課題だと考えている。


──宇宙ビジネスの商機について。


宇宙産業において、ロケットや衛星打ち上げなどの市場が占める割合は3分の1程度。残りの3分の2が商業などへの実用利用にあたるが、日本はこうした利用がまだ少なく、言い換えると今後の商機は多々あると言える。


例えば衛星から送られてくる画像を活用したリモートセンシングは、安全保障上はもちろん、橋梁...

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