長州藩の越荷方と地域経済 ─村田清風の改革を再考する─(上)〔東京大学史料編纂所〕

2025.03.31 19:50

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高等学校の日本史教科書には、江戸時代後期の1840(天保11)年に長州藩(現山口県、毛利家)が村田清風を登用して行った藩政改革の一環で、下関に設置された越荷方という機関が記載されている。 



 


銀行の役割を果たした越荷方


越荷方は、廻船の積荷を倉庫に預かってそれを担保に資金を貸す、現代の銀行のような金融機関であり、融資には藩の公的資金が用いられた。江戸時代中期以降、日本海から下関・瀬戸内海を経て大阪に至る西廻り航路では、他人の荷物を運搬する運賃積廻船に代わり、自己資金で商品の仕入れ・販売を行う、北前船などの買積廻船が台頭した。


資金繰りが切実な課題だった廻船にとって、積荷を担保に融資してくれる越荷方は、現代の銀行と同じくありがたい存在だった。貸し手である長州藩にとっても、利子収入が藩の財政上の利益になった。


実は村田清風の改革は、単に下関の越荷方を「拡大」したに過ぎず、越荷方自体はそれ以前...

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