Vol.1 リーダーが押さえるべき〝成功循環モデル〟とは。組織活性化の絶対条件

公開日

2022/08/20

プラス 研修 セブンフォールド コーチング


個人と組織が持つ潜在的な能力を最大限引き出すのに効果的なコーチングスキル。金融界でもコーチング研修を導入する動きが加速している。生命保険会社で、部下を全国トップの座に押し上げた経験を持ち、エグゼクティブコーチングサービスを提供するセブンフォールド・ブリスの本田賢広社長が、シリーズ「個人と組織を活性化させるコーチングとは?〜部下を全国トップランキングに育てたコーチングのプロが伝授〜」でコーチングの本質を指南する。



■成功循環モデルのスタート地点が重要
組織を活性化させたいと思うリーダーは、ぜひ押さえておきたい理論があります。マサチューセッツ工科大学ダニエル・キム博士が提唱する「成功循環モデル」です。博士は、すべての組織は、〝結果の質〟→〝関係の質〟→〝思考の質〟→〝行動の質〟→〝結果の質〟のようにグルグル回ると言っています。うまくいく組織もそうでない組織も。では、なぜうまくいく・いかないといった違いが出てくるのでしょうか。博士は、サイクルのスタート地点が違うからと分析しています。

バッドサイクルの組織は結果の質〟がスタートプラス
結果の質をスタートにした組織とは、結果が出れば賞賛し、出ないと否定するといった組織です。人間は感情の生きものですから、否定されると上司に対しネガティブな感情を持ちます(関係の質が悪化)。すると、「どうしたら上司に怒られないか」「どうしたら上司とのコミュニケーションを減らせるか」のように生産性とは関係ないことを考え出し(思考の質が悪化)、とりあえず怒られないように、あるいは上司との接触が減るように行動するので(行動の質が悪化)、結果に結びつきづらい(結果の質がさらに悪化)。結果が出ないとまた否定され、バッドサイクルを回っていきます。

一方、グッドサイクルの組織は“関係の質”がスタートプラス
関係の質が良いとは、友達関係、なあなあで甘やかし、腫れ物に触る、といったことではなく、仮に結果が出なくても、また未熟なアイデアを言っても、決して人格が否定されることはないということです(関係の質がスタート)。人格否定される恐れがなければ、メンバーは伸び伸びものを考え出します。「そうだ、お客様のためにもっとこうした方がいいんじゃないか」など柔軟かつ健全、前向きに(思考の質が好転)。自分で考えたことは自分でやってみたいので主体的、積極的、行動量も多くなる(行動の質が好転)、すると結果は出やすい(結果の質が好転)。結果が出れば「良くやってくれたね!」と、さらに関係が良くなる(関係の質がより好転)。楽しくなって思考が活性化していくという流れができ、グッドサイクルを回っていきます。この理論、みなさんの経験と比べて合っているでしょうか。

ところで、例えば「結果が出れば報奨金を与え、出なければ罰を与える」のように結果の質から始めた方が、やはり結果は早く出るんじゃないですか、と言われることもあります。結論としては、出ます。が、しばらくすると人が次々に辞めていきます。

もちろん結果は大事ですが、〝今期だけ良ければ〟というわけにはいきませんね。やはり、いつも良い結果、右肩上がりの結果を出し続けたいとなれば、逆算すると、理に叶った行動が大量に起き続けている必要があり、それには健全で主体的でチャレンジングな思考がいつも生まれている必要があります。それには人格が尊重され、やりがいがあって楽しい職場、関係の質がスタートになっていることが必要になります。結果が大事だからこそ、関係の質を原点として始めることが大切なのです。

本質的かつ中長期的に素晴らしい結果に恵まれるには関係の質から、まずは目の前の仲間を大切にすることから始めてはいかがでしょうか。


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本田 賢広

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