Vol.1 始まった中小企業の総合的支援

公開日

2022/04/29

プラス ポストコロナに向け中小企業に活力を! 活性化協議会


全国47都道府県にあった中小企業再生支援協議会と中小企業経営改善支援センターは統合し、2022年4月から「中小企業活性化協議会(以下、協議会という)」を設置しました。中小企業の「収益力改善」「事業再生」「再チャレンジ」を一体で支援する体制となります。経済産業省が金融庁、財務省とともに策定した「中小企業活性化パッケージ」を踏まえ、中小企業の総合的支援がスタートします。コロナ禍で苦境に立つ中小企業の支援が待たれるなか、シリーズ「ポストコロナに向け中小企業に活力を!」では、各都道府県協議会の紹介や地域金融機関との連携事例などを紹介します。vol.1は、埼玉県協議会の内容を解説する。


埼玉県中小企業活性化協議会の概要
埼玉県協議会は、統括責任者1名、統括責任者補佐7名、併設する経営改善支援センター相談員2名、事務局2名の計12名態勢。元金融機関等のOBや出向者、税理士、中小企業診断士等で構成され、地域の中小企業の経営改善・事業再生の取組みをサポートする。また、地元銀行のみならずメガバンクや隣県地銀、信金・信組など金融機関との調整を主要な業務としています。 
早くから地元中小企業の過剰債務問題を解決すべく抜本再生案件に取り組み、多いときは年間10件以上の債権カットや債権者が債権を別の条件の債権に変更するDDS(デッド・デッド・スワップ)などを手掛けてきました。しかし、直近の2年間は専ら「特例リスケジュール」の取扱いが活動の大半を占め、2020年度以降の抜本再生案件は数件と、本格的な過剰債務解消に向けた動きは途上です。


 


多彩なメニュー揃え金融機関の活動をサポート
埼玉県協議会は、これまで同様に金融機関の返済条件緩和(リスケジュール)や抜本的な再生支援の取組みを行う再生支援事業、経営改善計画策定支援事業の他に、新たに「収益力改善支援」や、「事業再生ガイドライン」の手続きをサポートする役割も担うこととなります。収益力改善支援は、収益力に課題のある企業(金融支援を必要としない企業も含む)を対象に、収益力改善計画(収益改善アクションプラン+簡易な収支・資金繰り計画+損益計画)の策定を支援します。また、事業再生ガイドラインは、新たに策定された「事業再生ガイドライン」に基づき私的再生に取組む事業者を支援するため、計画策定費用の補助を拡充しました。

今年度は地元金融機関からのトレーニー研修生を新たに受け入れ、これまで協議会が培ってきた事業再生ノウハウを地域に還元する取組みも開始しました。

ポストコロナを見据え収益力改善が必要な企業から、抜本的な債務整理が必要な企業まで、あらゆるフェーズの中小企業を支援するメニュー・機能を揃えています。金融機関を通して、以下のような取引先への対応での相談に答えます。

<相談の一例>
・取引先の収益力が弱く、改善計画策定の提案をしたい
・コロナ禍で借入金が増加し、返済計画の策定が必要である
・折返し融資を繰り返しているが、下位行から調達が難しくなっている
・取引先の自主計画に沿いリスケ対応するも、計画が下振れし毎年見直している
・金融支援の前提として、専門家による事業・財務デューデリジェンスが必要である
・自力再生が困難で、スポンサーによる抜本的な再生を検討したい


 


プラス

白鳥 俊成

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