宮川 正 中小企業基盤整備機構理事長【顔】
2025.06.30 19:50
「5カ年中期経営計画」の2年目を迎え、地域の中核となる成長志向の中小企業へのサポートに力を入れている。なかでも、2025年度から始まった中小企業の飛躍的な成長を後押しする、「100億宣言」に参画する企業への支援を強化。売上高100億円を目指す中小企業が対象で、「売上高が既に100億円近い企業だけでなく、急成長を目指す企業からの申請が多いことに驚いている」と話す。
倒産件数の高止まりが続くなか、「タイミングを誤ると、再生できるにもかかわらずその機会を失ってしまう」と再生支援の必要性を指摘。そのための専門人材の育成に向けて、同機構が全国本部を担う中小企業活性化協議会が金融機関の行職員向けに実施している研修制度の充実化を図る。
民間企業での経験から、「中小企業の経営者が今、何に迷い、困っているかへの共感や理解が深まった。『何か手伝えることはないか』を常に考えてサポートしていく」考え。地域金融機関とは、「目線を合わせて中小企業を応援し、更なる成長を後押ししていきたい」と連携を深める姿勢を示す。(聞き手=本誌編集長 松井 秀観)
地域の中核企業をサポート
──日本経済や中小企業を取り巻く状況は。
コロナ禍を経て、日本経済は本格的な成長軌道に乗ってきた印象だ。円安で輸出産業を中心に稼ぐ力が盛り返したほか、内需系の企業もインバウンドに代表される外需を引き込んで経済が循環していることはポジティブに捉えている。とはいえ、最近はトランプ関税などの影響で不確実性が増している点は懸念材料だ。
中小企業には好循環のメリットを享受できていない懸念があるのも確かだ。そのため、2024年度からの5カ年中期経営計画では、地域の中核となる成長志向の中小企業へのサポートに力を入れている。加えて、中小企業を取り巻く人手不足や賃上げ、価格転嫁などの課題にもしっかり対応していく。
──トランプ関税の影響と対策は。
2025年4~5月に実施した「米国関税政策に関する中小企業への影響度調査」では、中小企業者約2,300者のうち、米国関税政策の影響を心配する声が4割強を占めた。ビジネスに影響が出ている段階ではないが、米国の政策次第で状況が大きく変わるため注視している。
これに伴い、2025年度から全国10カ所に「米国自動車関税措置等に伴う特別相談窓口」を設置し、中小企業・小規模事業者の相談を受け付けている。資金繰りなど...
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