山田 敦郎 グラムコ代表取締役【顔】
2025.05.31 19:50
FFGやSOMPO、sojitzなど多くの企業、金融機関のブランドコンサルティングを手掛ける。ブランドとは「差別化すること」、その戦略をブランディングと呼ぶ。羊飼いが自分の羊を区別するために押した“焼き印”が始まりだが、現代企業では「共感の好循環を創り、企業価値を高めることがブランディングの本質」と話す。
成功すれば、「顧客から共感を得て、そのブランドと付き合っていることに誇りを持ってもらえるようになる」と断言する。何よりも必要なのは「企業の土台となる理念体系などを固めること」と。その基盤があって初めて、「訴求を高める名称やロゴのビジュアルなどのデザインによる可視化での差別化が鮮明になる」からだ。最近は優秀人材の確保へ、社員向けに自社への愛着や誇りを高めてもらうインターナルブランディングを行う企業も増えている。
メガバンクに比べて地方銀行や信用金庫の取り組み余地は大きい。地域の“名士的存在”であり続けるには、「地域貢献や地方創生を“独自の言葉”で伝える。行員を奮い立たせるパーパスやブランド基盤を創ることが今こそ必要だ」と訴える。(聞き手=本誌編集長 松井 秀観)
デザインで差別化を鮮明にする
──ブランド構築やブランディングに取り組む上で重要なことは。
ブランドとは差異化することだ。その戦略をブランディングと呼ぶ。もともとは羊飼いが、牧草地で羊たちに草を食べさせる際に、他の羊飼いの羊と区別するために焼き印(英語でブランド)を押したのが始まりとされる。
現代の企業活動におけるブランディングの本質は、共感の好循環を創り、企業価値を高めることにある。企業は顧客と約束して、共感を得たことを実行する。顧客の好感度を上げファンになってもらい、そのブランドと付き合っていることに誇りを持ってもらう。
そのためには、まずは企業の土台・基盤となる理念体系などを固めることが重要だ。その上で訴求を高める名称やロゴなどのビジュアル、カラーパレット、ブランドスタイルなどのデザインで可視化し差別化を鮮明にする。また、インターナルブランディングもあわせて取り組むことで、社員にも自社への愛着や誇りを高めてもらう必要がある。
──日本企業は主にブランディングについてどのように取り組んでいるのか。
グローバルに展開する日本企業では、早くから重要性を認識し積極的にブランディングに取り組んでいる。とりわけ、...
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