「ニューヨーク事件」の経験
2025.04.30 19:50
私が社会人になったのは1988年。大学では開発工学を専攻していたのでゼネコンを志望していたが残念ながら縁が無く、いっそのこと未知の世界である銀行業界の門を叩くことにした。
当時はバブル絶頂期で、円高・株高・債券高の「トリプル高」という見出しが新聞に頻出し、まるで世の中が沸騰しているようだった。その後、はかなくもバブルは崩壊し、日本は構造不況に陥り経済停滞が長く続くことになる。
大和銀行入社当時は、新入社員としての緊張感と期待感、そして金融の世界に対する未知の挑戦が私の心を躍らせたが、振り返ると激動の社会人生活であったと感じている。
特に印象深いのは、1995年7月に発覚し同年9月に公表した大和銀行ニューヨーク事件だ。現地採用の証券トレーダーが1,100億円もの巨額損失を隠ぺいしていた事件で、これを契機に大和銀行は1996年2月2日に全米からの撤退を余儀なくされる。
当時本部で勤務していた私は、...
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