
独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)では、中小企業の海外ビジネスの課題やお悩みを解決するため、豊富な実務経験・ノウハウを持つ専門家が無料で相談に応じる「海外展開アドバイス支援」を実施している。日本の伝統産業の海外進出支援事例を交えて、販路支援部海外展開支援課の高橋紗代氏が紹介する。
■海外展開相談と海外展開ハンズオン支援
1.「どうする、海外。」なお悩みに、『海外展開相談』
「初めての海外展開」から「伸びない海外売上」あるいは「海外子会社の管理」まで、企業の成長のために、海外ビジネスに関わる幅広いご相談に対応します。課題の解決に向け、海外展開の現況をお聞きしながら、海外ビジネス経験の豊富な専門家がサポートします。
2.一から一緒に考える『海外展開ハンズオン支援』
海外展開の実現に向け、進出する国・地域の選定や展開形態(直接輸出や間接輸出、拠点設立など)の選択から、販売先への提案と交渉、現地に渡航してのF/S(実現可能性調査)、調査分析結果を海外事業計画にまとめるところまで、担当の専門家が伴走してサポートします。
■中小機構の海外展開支援事例
「襖と障子を世界へ。フランスのインテリア事業者との協業が実現」ハリマ産業株式会社(千葉県)
ハリマ産業株式会社(以下、同社)は、和室・洋室向けの木製建具(襖、戸襖、障子、各種ドア)を製造、販売、取り付け工事を行う会社です。
かつては日本家屋に欠かせない存在であった襖や障子を使った和室ですが、近年ではその新築件数の減少に伴い、襖や障子の需要が減少していることから、同社は伝統建具の新たな活路を海外へ求め、商工組合中央金庫より中小機構の紹介を受け、海外展開ハンズオン支援を活用しフランス市場で販路開拓に挑戦しました。
海外展開の可能性を探るにあたり、最初に「どの国をターゲットにするか?」という大きな課題がありました。そこで、中小機構の海外現地在住アドバイザーの協力も得ながらヨーロッパやアメリカの情報収集を行った結果、日本文化やものづくりへの興味や造詣の深いフランスを対象国に絞り込みました。
海外事業計画策定において、専門家からのアドバイスを受け、フランス市場調査や自社の強み分析、ビジネスモデル構築を入念に行いました。「何を誰にどうやって売るか」について複数の仮説を立て、襖や障子だけでなく、襖紙を使った襖パネルなどの加工品もサンプルに加え、フランスへの現地渡航調査を実施。その結果、フランスには本物以外に興味がなく、日本人に負けないくらい厳しい目を持っている人が多くいることが分かり、今後の方向性についても「襖紙を使った加工品ではなく、襖と障子で勝負する」と決めることができました。結果的に、パリのインテリア事業者が日本の本物の和室建具に興味を示し、ショールームで襖や障子を設置することになり、現地からの受注につながりました。
現在、同社には自社のWebサイト経由での世界からの引き合いも徐々に増えており、経験値を積み重ね成約率向上を目指しています。 フランス・パリのインテリア施工事業者との商談
襖紙を使用して試作した襖パネル
この事例の詳細は「中小機構 海外ビジネスナビ」からご覧いただけます。
このように「はじめての海外展開、一から一緒に考える」中小機構の海外展開アドバイス支援を、ぜひご利用ください。
ご利用にあたっては「中小機構 海外展開ハンズオン支援」からお申込みください。