Vol.1 苦手意識を克服!年金業務は顧客信頼獲得し、社会貢献を実現

公開日

2022/08/30

プラス 公的年金 シルバー層開拓


金融機関にとって年金業務は、顧客のメインバンク化につながり重要な業務。しかし、行職員の苦手意識も強く、本部の専担者任せになっている金融機関も多い。金融機関等でセミナーや研修を行う特定社会保険労務士の三宅明彦氏が、シリーズ「シルバー層開拓で欠かせない公的年金のイロハ~基礎知識と改正年金法に対応した想定相談集」で、行職員目線に立ち解説する。


今回から公的年金についての基礎知識や改正された内容と想定相談等について、シリーズとして掲載させていただきますので、日常の営業活動の参考にしていただければ幸いです。Vol.1は、当たり前のことかもしれませんが、金融機関職員としての「年金業務に取り組む意義・重要性」について説明します。 

プラス 年金 老後
先ずは、何のために公的年金を推進するのか、という意味を理解したうえで、業務に励んでいただければと思います。

年金業務に取り組む意義・重要性を認識する
「預貯金の確保」は、金融機関の基本的な業務です。2カ月ごとに顧客の普通口座に、生涯にわたり振り込まれる年金を預貯金と捉えれば、金融機関にとってこれほど魅力的な「集まる預金」はありません。しかも、現役時代の給与振込口座と同様に年金口座は「生活口座」として機能しますので、「年金口座の獲得=メインバンク化」となり、今後の様々な取引のきっかけになり得るものです。

⑵年金に対する苦手意識をなくす
「年金は複雑で難しくて、よくわからない」という先入観から、「顧客から年金のことを聞かれたらどうしよう」と尻込みしてしまう職員の方も多いと聞きます。しかし、基本的なしくみと手続きの仕方さえ知っていれば、心配することはありません。自分で答えられない質問も、あとから調べて答えるなど親切に対応すれば、むしろ顧客から感謝されるのが年金業務の特長です。

⑶効果的に顧客から年金口座の指定を獲得するノウハウを習得する
年金受給資格のある方が受給年齢に達すると年金の受け取りが始まりますが、公的年金については意外と多くの方が内容の誤解や、思い込んでいる部分が多いのではないでしょうか。

これから受給が始まる多くの方は、年金のことや受け取り方などをアドバイスしてくれる相談相手が身近にいれば心強いと思っています。顧客が本当に知りたいことをしっかり情報提供していくことが、効果的な年金口座の指定獲得につながっていくことになります。

⑷年金口座を通じた預貯金の獲得
①第2の給与と言われる年金は、“集める預金”ではなく“集まる預金”といわれ、歩留まり率が高い。
②年金は2ヵ月ごとに定期的に生涯にわたり振り込まれる預金である ⇒長期顧客化。
③約4000万人を超える年金受給者がいて、年間総額56兆円超の公的年金が金融機関を通じて振り込まれている大きな市場である ⇒膨大な預金の受け皿に。

⑸生活口座として機能する年金口座の指定によるメインバンク化
①年金は高齢者世帯の収入の約7割を占める(厚生労働省「国民生活基礎調査」より)。
②約6割の高齢者世帯が年金収入だけで生活している(同)。
③高齢期の生活設計で年金を頼りにする人は7割にのぼる(厚生労働省「社会保険事業の概況」より)。

⑹ライフプランの相談を通じて、取引の拡大にも発展
①公的年金を補うための自助努力をサポートする金融商品(個人年金・保険・投資信託等)の提案。
②親切に対応すれば、むしろ顧客から感謝されるのが年金業務である。
③信頼を得ることで、相続や子どもの住宅ローン等の取引まで拡がることも。

⑺年金業務を通じた社会貢献
①地域の金融機関では、地域社会に貢献することで、地元の信頼を獲得できる。
②年金友の会の活動や会報誌の発行などを通じて地域の高齢者の生きがいをサポートできる。

このように年金業務は、金融機関にとっても重要な業務であるとともに、営業担当者にとっても、やりがいを感じることができます。次回は、具体的な取り組み方法について説明します。

プラス 年金 三宅明彦 社労士


三宅 明彦

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