
インドは今、最も注目されている国の一つでしょう。新NISAを追い風に、2024年初来での公募アクティブファンドで、最も資金流入しているカテゴリーです。「黄金時代到来!?なるほどインド講座」の初回となる本稿では、インドが今なぜ注目されているのか、理由を見てみましょう。
■堅調な株式市場、世界上位の時価総額
最大の理由は株式のパフォーマンスでしょう。インド株式(SENSEX指数)は2016年以来8年連続で年間騰落率はプラス、2024年初来でも最高値更新など、堅調に推移しています。一方、日本株式(東証株価指数)や、米国株式(S&P500種指数)は、直近では2022年の年間騰落率がマイナスでした。インド株式に注目が集まり始めたのも、ちょうど株式市場の明暗が分かれた2022年後半でした。
また、株価上昇や、IPO市場の活況などを背景にインド株式市場の時価総額も拡大を続けており、2024年1月には一時、香港を上回り、米国、中国本土、日本に次ぐ世界第4位に躍進しました。
■「メイク・イン・インディア」政策とサプライチェーンのシフト
活況なのは株式市場だけではありません。最近では、世界的なサプライチェーンの見直しの流れを受け、連日のように世界中の大手メーカーがインドに製造拠点をシフトさせるとの報道を見かけます。現モディ政権は、その政権スタート当初から「メイク・イン・インディア(インドでものづくりを)」のスローガンのもと、製造業振興を重点分野に掲げてきました。
その政策の一つとして、2019年には法人税率引き下げを発表、2020年にはPLI(生産連動型優遇策)を導入しました。製造業に対する補助金政策であるPLIでは、日本のダイキンやパナソニック、ドイツのシーメンス、台湾のフォックスコン、韓国のサムスン電子やヒュンダイなど多くの外国企業が参加しました。
■長期の成長ストーリー、人口ボーナス期は始まったばかり
資産運用においては、長期投資の観点が最も重要です。長期の経済成長予想には人口動態が影響を与えます。世界一の人口大国インドは、2019年に人口ボーナス期に入りました。人口ボーナス期は総人口に占める生産年齢人口の割合が高い時期で、経済活動が活発になり、経済成長が加速しやすい時期です。
日本は1963年に人口ボーナス期に入り、翌1964年には東海道新幹線開通や東京オリンピック開催といった高度経済成長期の象徴ともいえるイベントがありました。日本の株価は1989年末には約28.9倍(1962年末比)まで大幅上昇しています。
一方で、インドの人口ボーナス期は2051年まで続くと予想されていますが、株価は約2.1倍の上昇(2018年12月末~2024年4月末)にとどまっています。インドの本格的な経済成長は、まだこれからかもしれません。
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(このコラムは「ニッキン投信情報」の連載を再編集したものです)