Vol.1:デジタルIDの基礎となるマイナンバーカードとは?

公開日

2023/10/02


2016年1月、マイナンバー制度と共に交付がスタートした「マイナンバーカード」。日本では運転免許証などすでに普及が進んでいる本人確認書類がある中、その利便性や重要性は、国民にとっても企業にとってもいまだ正しく理解されているとは言えない状況だ。シリーズ「デジタルID:金融サービスのデジタル変革のカギ」では、今後の活用が注目されるマイナンバーカード・デジタルIDを正しく理解し、今後の金融サービスのデジタル変革へどう活用すべきかを解説する。

唯一無二の公的身分証、マイナンバーカード
運転免許証を抜き、2023年8月末時点で70%を超える交付率となったマイナンバーカード。マイナポイントがもらえることをきっかけに最近になって作った方も少なくないのではないでしょうか。これまでも、運転免許証や保険証などがあったのに、なぜマイナンバーカードが必要なのか?
ましてや、今やマイナンバーカードと保険証を一体化する”マイナ保険証”や、運転免許証までもがマイナンバーカードへの一体化の方針が政府から示されています。
「これまでの身分証などで済むのではないか?」「なぜ政府はそこまでマイナンバーカードを進めたいのか?」。そのように疑問に思われている方も多いと思います。
その最大の理由は、マイナンバーカードがこれまでの身分証とは根本的に違う、唯一無二の身分証であることに尽きます。

実はこれまでなかった!?公的身分証
従来、金融機関などでの本人確認といえば、本人確認書類として運転免許証が最も広く利用されていたと思います。しかし、運転免許証はあくまで「運転できる車種の資格を証明する資格証」であり、身分証明書ではありません。保険証にいたっては、券面に顔写真などが記載されておらず、本人以外の人が利用できてしまう危険性もあるため、これまでも保険証一点だけで本人確認することは認められてきませんでした。
そうした中、マイナンバーカードは、年齢を問わず、誰もが無料で作れる唯一の公的身分証として2016年にスタートし、今や運転免許証の交付率を上回り、最も普及する、”身分証明書”になりました。




マイナンバーカードが唯一無二である、もう一つの理由
マイナンバーカードが唯一無二の公的身分証と言える理由はもう一つあります。それは、対面での券面提示による身分証としての役割だけでなく、オンライン上で非対面でデジタル本人確認ができる、政府が民間に開放している唯一の本人確認基盤であるという点です。
運転免許証も保険証も、その発行者たる行政機関に、完全オンラインで24時間365日いつでも照会をかけて、その身分証が本物であるかを調べることができませんが、マイナンバーカードだけは唯一、それが可能になります。
この仕組みは公的個人認証と呼ばれ、すでに金融機関のオンライン本人確認をはじめ、民間デジタルIDサービスで利用されています。

次回は「公的個人認証(JPKI)は金融機関でどう使われる?」を説明します。


 



日下 光 氏(くさか ひかる)
Co-Founder / 代表取締役CEO
xID株式会社


1988年生まれ。2012年にxID(クロスアイディ)を創業。創業時からブロックチェーン技術に注目し、政府機関や民間企業のプロジェクトの企画・提案をブロックチェーン黎明期より携わる。2017年よりエストニアに渡り、eResidencyや政府機関のアドバイザーを務める。静岡県浜松市フェロー。2021年度~2023年度総務省地域情報化アドバイザー。Govtech協会代表理事。デジタルアイデンティティコンソーシアム理事。
 xIDは公共・行政分野で導入実績400自治体以上のマイナンバーカードに特化したデジタルIDを提供するGovtech(ガブテック)企業 。 金融サービスでのオンライン本人確認や、データ連携での住所や氏名変更自動化などができる。


xID社コーポレートサイト


 

日下 光

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