倒産 サクライ コベナンツ違反で金融機関に見放された(File6) バブル期の“幻想”につまずき! 非主力金融機関に突然の担保設定
2025.09.26 19:50
2025年7月、製菓・製パン原材料を扱うサクライ(東京都江東区)が破産した。
業歴110年を数える老舗で優良企業との評価も得ていたが、バブル期に先代社長が購入した絵画や骨董品などに資金が流用され、10年以上前から債務超過に陥っていた可能性があった。
サクライは倒産直前まで通常営業を続け、突然の破産に取引先は驚きを隠さなかったが、東京商工リサーチ(TSR)が独自入手した「破産申立書」をもとに取材を進めると、好況期に誰もが陥りやすい“幻想”へのつまずきなど記載内容と異なる側面も浮かび上がる。
バブル期に趣味へ資金流用
サクライは1915(大正4)年、バター、国内外産マーガリン、製菓・製パン原材料の販売を目的に創業した老舗企業だ。
戦後の1950(昭和25)年に法人改組し、1960年に千葉、1964年に名古屋、1985年に盛岡、1995年に仙台と営業所を開設し、事業を拡大した。1966年の創業50周年を期に創業の地である東京都港区西新橋(本社登記地)に移転。2012年に現在の東京都江東区有明に移転した。
TSRが独自入手した「破産申立書」には、1990年頃の日本経済のバブル期に、先代社長が自身の趣味である絵画や骨董品を購入するために、サクライが金融機関から借り入れを行っていたと記載している。流用金額は明確には判明しないが、「億単位に及ぶ」という。
バブル期は世の中の価値観が常軌を逸し、土地や証券投資だけでなく絵画などの資産価値も異常なほどに上昇した。資産価値の上昇が未来永劫続くと多くの人が思い込み、絵画などの資産を持つことが1つのステータスだと考える人も続出した。先代社長も、その幻想に捉われた1人だったのかもしれない。
マイナス金利下で推定4%超
サクライの資金繰りは運転資金が不足するとそれまで取引実績がない金融機関から新たに借り入れて維持してきた。借入金は増え続け支払利...
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