「年収の壁」を意識した就業調整は合理的か

2025.04.30 19:50

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 前月号では、公的年金制度における巨額の積立金の運用を担う、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の機能と運用成果を説明した。5月号では、「年収106万円の壁」を意識した就業調整という制約を自らに課すことが、生涯を通じて果たして合理的な選択なのか考えたい。


 


2号、3号の境界線にある「壁」


そもそも、「年収の壁」の「壁」とは何か。ここでは、税に関するものを除き、社会保険料に関するものに絞ろう。

公的年金制度に加入する現役世代すなわち被保険者は、1~3号の3つのカテゴリーに分かれる。一番数が多いのは、会社員など被用者である2号被保険者だ。収入(以下、「収入」は社会保険における「標準報酬」を指す)の18.3%を厚生年金保険料として払うが、労使折半だから半分の9%強を給与から天引きされる。1号は、農家や自営業、あるいは無業の方であり、毎月定額(1万6,980円、2024年度)の保険料を払う。...

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