業種別貸出金残高 業種別トップは「不動産業」! メガバンク、地銀で増加続く

2025.04.30 19:50

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“ものづくり大国・日本”。そのイメージを強く持つ世代の人にとっては、基幹産業と言えば「製造業」になるだろう。一方、近年は“最大・最長の不動産バブル”が続く。銀行融資で見れば、「不動産業」こそが現代の基幹産業的なボリュームを示している。


ニッキンレポート」が独自集計する「業種別貸出金残高・構成比」の過去15年間のデータをもとに金融面から検証した。



 


「ニッキンレポート」では、3月末と9月末の年2回、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行の「業種別貸出金残高・構成比」を掲載している。今回は、2009年3月期から2024年3月期まで5年ごとに全体平均(図表)と各業態平均の構成比を抽出した。


 



                  


2009年3月末時点における3業態の製造業への貸出比率は、都市銀行13.2%、地方銀行13.9%、第二地方銀行10.0%。


当時は都市銀行と地方銀行では製造業への貸出比率が最も高かった。不動産業は都市銀行13.0%、地方銀行10.3%、第二地方銀行14.2%。第二地方銀行では製造業を上回っていたが、都市銀行と地方銀行では製造業の方が高かった。


当時はリーマン・ショックの影響で不動産業への貸し出しが鈍ったという要因もあるが、「製造業こそが日本の経済活動を支える最重要の基幹産業だ」と言える状況だった。


直近の2024年3月末時点では、その勢力図に大きな変化が見られている。製造業への貸出比率は、都市銀行15.1%、地方銀行9.2%、第二地方銀行7.2%。都市銀行では業種別貸出比率で2番目の位置にあるが、地方銀行や第二地方銀行では貸出比率が大きく低下している。


都市銀行が大企業向け融資を積極的に行っているのに比べて、地域銀行では人口減少に伴う営業エリアの過疎化、廃業及び工場撤退などが直撃した格好だ。


その一方で、貸出比率が大きく高まったのが不動産業。都市銀行21.3%、地方銀行18.0%、第二地方銀行が17.2%となり、3業態ともに最も高くなっている。今回の調査では不動産業への貸出比率は、「3業態ともに2014年3月期から最も高い状態が続いている」ことが明らかになった。


しかも、他産業との比率の差は年々広がっている。銀行融資だけで見ると、「不動産業こそが現代の基幹産業」と言えるのかもしれない。


日本の基幹産業は、時代とともに変化していく。今回は製造業と不動産業を比較したが、貸出構成比では「金融・保険業」「地方公共団体等」はこの15年間で大きく増加した。2024年3月期を詳細に見ると、「金融・保険業」の構成比は3業態ともに前年比0.5%超上昇している。


このトレンドがもしこれから5~10年続けば、金融業こそが日本の基幹産業と言われる時代が来るかもしれない?


(ニッキンデータ商品開発部)


https://www.nikkin.co.jp/nikkindata.html


 


 


 

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