第1回 「なぜ、DXは必要なのか」(後編)

公開日

2022/04/29

DX人材育成の道しるべ


シリーズ「DX人材育成の道しるべ」。今回は、前回に引き続き「なぜ、DXは必要なのか」をテーマに、DXによるビジネスの変化を解説する。



  1.DXはビジネスのやり方も変えた  

消費者や世の中の変化は、デジタルによるグローバル化だけではない。消費者の商品・サービスに選択の幅が増えたことで、消費者行動が変わり、ビジネスのやり方も変わっている。

プラス例えば、ビジネス環境は〝作り手志向〟から〝消費者志向〟に大きく変化した。作って店頭に並べれば売れる時代は過去のものとなり、消費者が〝欲しい〟〝これいいな〟と思う商品やサービスでないと売れない時代になっている。また、商品は単機能価値から総合体験価値に変化した。洗濯機は、綺麗に洗うという単機能価値から共働き子育て世帯向け用に夜中でも騒音を出さずに洗い、除菌するなど、顧客のペイン(悩み)を解消することが求められる。
さらに、商品・サービスの組成は、企業内完結から消費者参加型に変化。工事作業服などを企画製造販売していたワークマンは、ブロガーやユーチューバーの協力で消費者の声をSNSで取り入れ、キャンプでのたき火でも燃えにくいアウターなどの商品開発に活用している。このように企業単独から複数企業のシェアバリュー(利益シェア型)に変化。マーケティング活動は、マス広告からSNS・インフルエンサー・コンテンツに変化している。企業がビジネスを行うための仕事のやり方が変わっており、これに必要なものが〝データ〟〝デジタル〟〝新しいビジネスの仕掛けを使った経営改革〟でありDXの定義と考える。


  2.DXに欠かせないデータ・デジタル・新しいビジネスの仕掛け  

DXに必要な要素は、データとデジタル、そして特に重要なのがビジネスの仕掛けである。これを理解し、使いこなせないとDXを検討することができず、もちろん実施することもできない。
最も重要なビジネスの仕掛けとは、ビジネスモデルやマーケティング、消費者行動と価値の変化(モノ消費→コト消費)などビジネスに影響を与える要素である。例えば、地域限定ビジネスを展開する企業の全国に商圏を広げるために使う〝商談や受注のオンライン化〟や、顧客から募集した自社商品の感想を活用した動画広告で見込み顧客に訴求する〝コンテンツマーケティング〟がある。また、高度なものでは、プラットフォーム、シェアリング、クラウドファンディング(購入型)、顧客ロイヤリティプログラムなどがある。このようにビジネスの仕掛けは、新しいビジネスを行う手段となる。
そしてビジネスの仕掛けを使うためには、データの活用とデジタル技術を生かすことが必要だ。

〝DXはなぜ必要か〟その答えは「消費者が変化し、それに応じてビジネス環境も変化。それに対峙する手段がDXだから」であり、DXの具体策がデータ、デジタル、ビジネスの仕掛けを使ったビジネス改革である。


プラス

岸 和良

執筆者に質問しよう

記事名か執筆者名を入れて質問してください

質問する