「高市総裁は、植田日銀にかなり厳しく接する」(第一生命経済研究所 熊野英生)
2025.10.07 10:09
爆上げで始まった「サナエノミクス」
10月4日に自民党の新総裁に高市早苗氏が決まって、週明け10月6日の株式市場では文字通りの「爆上げ」が起こった。拡張財政と金融緩和維持への強い期待感からだ。株式市場では、高市銘柄と呼ばれる経済安全保障関連の上昇が目立つ。
防衛、半導体、情報セキュリティー、核融合などエネルギーに関連する銘柄である。自民党のトップが変わって、これほど株式市場が大騒ぎするのは、第二次安倍政権誕生以来のことだろう。
インフレが加速する可能性も
高市総裁は、安倍晋三氏の政策「アベノミクス」になぞらえて、自分の経済政策を「サナエノミクス」と称している。拡張的な財政政策と金融緩和維持がその中身になる。「三本の矢」と言っていたアベノミクスと比べると、成長戦略の1本が足らないように見える。
この1本がないと、名目成長率は上げられても、実質成長率は上がらない。
もう1つ、アベノミスクとの比較で重要なのは、アベノミクスがデフレ時代に示された処方箋だったのに対して、サナエノミクスはインフレ時に同じような薬を飲もうとしていることだ。
当時、民主党政権から自民党政権に戻って、安倍首相が経済立て直しをしようと臨んだのに対して、高市総裁は野党と組んで、ガソリン暫定税率廃止、給付付き税額控除の実現に向けて、あれもこれもと歳出拡大・税収減につながる政策プランを飲み込もうとしている。
デフレ時...
この記事は会員限定です。
ログインまたはお申し込みください。
PR