地震と豪雨の二重被災を越えて 輪島キリモトの輪島塗再生への挑戦

2025.06.30 19:50

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輪島キリモトは、商品のデザイン・設計から製造、販売までを一手に手掛ける石川県輪島市の漆器メーカーである。木地作り・塗り・加飾など、それぞれの製造工程が分業された輪島塗の業界では異色の存在だ。2024年元日の能登半島地震で被災し、更に同年9月に発生した奥能登豪雨でも甚大な被害を受けた。二重被災の状態となった輪島キリモトだが、不屈の精神で立ち上がり、震災をきっかけに新しい輪島塗に挑戦し続けている。


 


伝統を途絶えさせないための迅速な再出発


2024年元日の能登半島地震で、輪島キリモトの代表、桐本泰一氏の自宅は全壊した。工房や倉庫、工房で働く職人の自宅にも大きな被害が出た。漆器の製造も販売も出来なくなり、再び営業を始めるにはかなりの時間を要すると思われたなかで、輪島キリモトは1月7日に早くもオンラインショップを再開。2月には本格的に在庫の出荷も始めた。更に3月と5月には、世界的な建築家である坂茂氏に依頼して、工房の敷地内に仮設住宅ならぬ「仮設工房」を2棟建設した。この地震で輪島塗の生産に関わる職人のほとんどが被災したと言われているが、桐本氏のこの迅速な行動は、職人が働ける場所をいち早く確保し、輪島塗の技術と伝統が途絶えないようにしたいという、強い思いに駆られてのものだった。


オンラインショップを再開すると、励ましの声とともに全国から多くの注文が入った。被災後も各方面からの仕事のオファー...

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