ECB、0.25%利上げ 6月末にAPP再投資終了

2023.05.05 05:44
海外金融当局 金利
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欧州中央銀行(ECB)は5月4日に金融政策理事会を開催し、三つの主要政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げた。利上げ幅は前回の半分に縮小。量的緩和で膨らんだ資産圧縮のため、資産購入プログラム(APP)の償還金額の再投資を6月末で終了することも決めた。


利上げ幅縮小の追い風となったのは、5月2日に発表されたユーロ圏の4月のインフレ(HICP)の速報値と見られる。食品、エネルギー、アルコール類、たばこなどを除いたコア指数の伸びが、3月の5.7%から5.6%へ低下した。前月比で低下するのは10カ月ぶり。


ただ今後のインフレ見通しについては、前回と同様に「高すぎる状態が、まだ長く続くだろう」(クリスティーヌ・ラガルド総裁)との見方を示した。


今回の利上げにより、①預金ファシリティ金利(金融機関が手元資金をオーバーナイトでECBに預け入れる際の中銀預金金利)は3.25%②限界貸出ファシリティ金利(金融機関が急な資金需要が生じた場合、オーバーナイト資金をECBから借り入れる際の金利)は4%③主要リファイナンスオペ金利(ECBおよびユーロ圏内の中央銀行が行う公開市場操作において金融機関が入札可能な下限金利)は3.75%となった。


ECBは3月以降、APPの償還額の再投資を減らすことで、月間150億ユーロずつ資産を圧縮し、4月末現在のAPP残高は3兆2165億ユーロとなっている。7月以降は再投資そのものを行わない。7月から24年4月までに償還される金額は約2735億ユーロになる見通し。


記者会見でラガルド総裁は、クレディ・スイスをUBSが買収した件について「特殊なケースであり、これをきっかけに金融危機が起きることはないが、学ぶべきことはある」と語った。今後の利上げについては、前回同様にデータ次第との見解を強調した。

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